
北欧神話と伝説
講談社学術文庫
ヴィルヘルム・グレンベック / 山室 静
2009年9月10日
講談社
1,672円(税込)
人文・思想・社会 / 文庫
荒涼峻厳な世界で育まれた北の民の精神を語るエッダ、サガ、神話、伝説を読む。ヨーロッパ北部周縁の民=ゲルマン人は、キリスト教とは異なる独自の北方的世界観を有していた。古の神々と英雄を謳い伝える『エッダ』と『サガ』。善悪二元の対立抗争、馬への強い信仰、バイキングに受け継がれた復讐の義務……。荒涼にして寒貧な世界で育まれた峻厳偉大なる精神を描く伝説の魅力に迫る。北欧人の奥深い神話と信仰世界への入門書。 序 北欧人の生活と本書の意図 第一部 神話篇 世界の創造と神々 トール神と巨人たち トールのヒミール訪問 トールとウトガルド=ロキ トールとルングニールの戦い ゲイルロッドの許で トールのハンマー奪回 神々の神話 アサ神族とヴァナ神族の戦い アスガルドの城壁づくり 縛られた巨狼フェンリル ロキと小人たちの賭 巨人にさらわれたイドゥン スッツングの蜜酒 フレイの恋人 バルデルの死 ロキの処罰 ラグナロク(神々の没落) 古い神々とキリスト 第二部 サガと伝説篇 みずうみ谷家の人々 鍛冶ヴェールンド ハディング王 永遠の戦い アムレード(ハムレット) 寡黙のウッフェ ラフニスタの人々 テュルフィングの剣 シクリング家の女たち スギョルド家とハドバルド家 スギョルド王 フロデの石臼 ロアールとヘルゲ ヘルゲとオローフ ビョーウルフとグレンデルの戦い ロアールとイングヤルド ロルフ・クラキのこと イングリング家の王たち ヘルゲ・ヒョルワルドソン イルフィング家のヘルゲ ウォルスング家の物語 アンドヴァルの宝 シグムンドとシグニイ 竜殺しのシグルド シグルドとブリュンヒルド ギューキ一族とアトリ ヨルムンレクの死 訳者解説 北欧の神話と伝説の大要
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(無題)
エッダやサガといった原典の現代語訳ではなく、現代の読者向けのリライト作品。なので、基本的に論理に撞着をきたさない範囲で書かれており、わかりやすくはある。神話と英雄伝説編の二部構成でエッダを原典とした話が多いが、読んだことのない話が多く内容的にはかなり充実している。しかし、訳者がこの人なので予想通りといえば予想通りだったのだが、訳文がいまいちこなれていないというか、洗練されていない。訳注的な内容を訳注としてでなく、括弧内にさらりと書いてしまうのってどうなんだろう…(それとも原文がそうなのか)。固有名詞もやや特殊。一般的な呼び名を採用するとかできなかったのだろうか、と疑問。
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