未明の闘争(上)
講談社文庫
保坂 和志
2016年2月13日
講談社
814円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
池袋の「ビックリガードの五叉路」で、私は一週間前に死んだ篠島が歩いていた。彼の告別式で久しぶりに再会した高校の同級生のアキちゃんが、ブンとピルルという猫たちと暮らす家に、妻が不在の夜に突然訪ねてくる。さらにはお隣の三池さんの娘さんも加わって終わらないおしゃべりに、思いは時空を超える。 今という時のかけがえのなさのみならず、 生の時間におけるあらゆる記憶が 鮮やかに立ち現れて幾重にも折り重なり、 ずっと一緒にいた犬や猫たちも、 かつての自分も友達もみんな愛おしくなる未明の世界。 *内容紹介* 池袋の「ビックリガードの五叉路」で、私は一週間前に死んだ篠島が歩いていた。彼の告別式で久しぶりに再会した高校の同級生のアキちゃんが、ブンとピルルという猫たちと暮らす家に、妻が不在の夜に突然訪ねてくる。さらにはお隣の三池さんの娘さんも加わって終わらないおしゃべりに、思いは時空を超える。 やみくもに大切なものを抱きしめたり、ロッド・スチュワートが聴きたくなったり、眠ったり、子供の頃を思い出したり、セックスしたり、叫びたくなったり、どこか知らないところに行きたくなる、富士山と文学と音楽と猫と世界への愛にあふれた小説 野間文芸賞受賞作
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連関の嵐
starstarstar 3.5 2024年01月31日
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斬新な構成で描かれている。言葉のイメージ、言葉の音を契機に次々と話題が切り替わる。まるで自分たちが日常で物事をぼーっと考えている時のように、連関が生まれ、現象が繰り広げられていく。その結果、読者は時間的・空間的に把握することが難しくなり、いつしか流れる様にこの文章を読むことになる。無意識の領域を描いているのだろうか。
保坂和志氏は哲学に明るい。本人曰く、分析されない小説を描いている、更には、本人ですら説明できないように描いているそうだ。
また以下の様なコメントも残している。
「作者は作品の外にいる存在だから、作品に働きかけることはあっても、作品から働きかけられることはない。つまり作者は作品に対して神のような存在であり、作品に流れる時間の影響を受けない、というのが普通の作品観だが、一年くらい経った頃からそれはおかしい。おかしいし、つまらない、と思うようになった。
作者は作品を書きながら、作品から影響を受けてどこかに連れていかれる。ということは、作者もまた作品の中にいる。この作品は書きながらどんどん、全体を考えるのはやめようよ、先がどうなるか、もう全然わからないよ、という小説になった。」
自分は小説を読んだ後に、読後感想文として、作品を分析したり、語りたがる傾向がある。しかし、小説とは本来、読者が作品を読んで享楽することが本質で、分析することは、作品自体、究極的には小説を読むことによる享楽の完璧さに傷をつけてしまう。自分を作品に投影せず、あるがままの世界を楽しむことこそが、究極の享楽である。
保坂和志氏を理解するには、まだ時間がかかる。
フッサール、ハイデガー、ラカンといった哲学者の入門を読んできたが、彼らを含めた哲学の理解を深めていくと、更に保坂和志氏の小説が楽しめると感じた。
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