殺人出産
講談社文庫
村田 沙耶香
2016年8月11日
講談社
660円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
今から百年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」で人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日、突然変化する。表題作他三篇。
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価値観揺さぶられるディストピア集
・殺人出産 →ディストピア。「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」になると崇められていた。主人公育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。育子は素晴らしい行為をたたえながらも、彼女の抱える秘密や数百年前の価値観との齟齬などから、どこか複雑な思いを抱いていた。 →存在しない近未来にでき得る法律のリアルさ、法律の変化からの生と死に対する価値観の変化のリアルさが凄くて、今ある価値観を揺さぶられる感覚。育子と同僚がまるで、恋バナをしているかのように、殺したい人の話をしている世界の気持ち悪さ。 ・トリプル →芸能人たちの影響もあり、トリプル(3一言)で付き合うのが当たり前のようになった若者たち。しかし、親の世代は、3人で付き合うと言えば、3Pなどの乱交を想像するから、子どもたちが、トリプルで付き合うことは許さない。 →数十年で変わる(特に世代ごとに変わる)価値観の変化と、世代間の価値観の齟齬を、性で、極端に描いたのが印象的で。多かれ少なかれ、こういった価値観の変化は今の数十年でも起きてるなあと思わされる部分もあった。トリプルの性行為は気持ち悪いなあと感じさせられたが、トリプルが、カップルの性行為を凄く気持ち悪く感じているのも、価値観の違いだなあと認識させられた。 ・清潔な結婚 →純文。性の関係を持ち込まない、兄弟のような関係の家族を目指したい夫妻の結婚生活のお話。ある日、二人の子どもを作りたいと思うのだが… →この本の4作品の中では1番、感じたことのある感情を追体験できた。これは、他の作品のようにディストピアで根底から価値観を変えられるというよりは、性に対して、日常的に疑問に感じたことのある感情を、主人公たちも抱いていて、主人公はそれを行動に移したという感じ。現代価値観的。グリーンブリードなる治療は気持ち悪くて笑った。 ・余命 →5ページくらいで終わる掌編小説。ディストピア。何が起きても蘇生できてきまう近未来、そんな時代では、死を自分の意志で自由に決定できる。 →死への価値観の変化が凄すぎて、現代の死の価値観との違いを凄く考えさせられる。そして、近未来の主人公が考えてる、かつての価値観・世界への考え方がヤバい。こんな世界になっても、こういう悩みを抱いちゃうんだ…という…
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