晴れ、時々くらげを呼ぶ

鯨井 あめ

2020年6月17日

講談社

1,430円(税込)

小説・エッセイ

現役大学生、受賞! 第14回小説現代長編新人賞。 早くも応援の声、続々! 読みすすめながら、ふと、この小説はぼくが書いているのかもしれない、とおもった。 読了後、ほんとうにそうだった、とわかり、こころの底が熱くなった。 読んでいるひとと書いているひとが、ただひとつにつながれる。 読書のささやかな奇跡が、すべての読者の上に、くらげのように降りおちる。-いしいしんじ 『その日のまえに』『バッテリー』『重力ピエロ』『四畳半神話大系』『スロウハイツの神様』……学校の図書室にこもって本を読みふけり、「私は孤独だぜ」とものすごく傲慢に思っていたあの頃、ずっと彼らを待っていた。 -額賀澪 今すぐ自分の好きな本を読み返したくなるような、本への愛を感じる物語でした。本が好きな方、そしてこれから好きになる方に読んで欲しいです。 -武田綾乃 内容紹介:高校二年生の越前亨(えちぜんとおる)は、感情の起伏が少なく、何に対しても誰に対しても思い入れを持つことがあまりない。父親を病気で亡くしてからはワーカホリックな母と二人で暮らしており、父親が残した本を一冊ずつ読み進めている。亨は、売れなかった作家で、最後まで家族に迷惑をかけながら死んだ父親のある言葉に、ずっと囚われている。 図書委員になった彼は、後輩の小崎優子(こさきゆこ)と出会う。彼女は毎日、屋上でくらげ乞いをしている。雨乞いのように両手を広げて空を仰いで、「くらげよ、降ってこい!」と叫んでいるのだ。いわゆる、不思議ちゃんである。 くらげを呼ぶために奮闘する彼女を冷めた目で見、距離を取りながら亨は日常を適当にこなす。八月のある日、亨は小崎が泣いているところを見かける。そしてその日の真夜中、クラゲが降った。逸る気持ちを抑えられず、亨は小崎のもとへ向かうが、小崎は「何の意味もなかった」と答える。納得できない亨だが、いつの間にか彼は、自分が小崎に対して興味を抱いていることに気づく。

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書店員レビュー一覧

長江貴士

書店員

この物語で一番好きな言葉が、「目撃者の義務」という概念だ

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2
2020年06月17日

くまがい ゆか

書店員@七五書店

いとおしく優しい気持ちになる。

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2
2020年06月17日

ユウハル

書店員

青春小説でグサッときた

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5.0
1
2020年06月16日

ひさだかおり

書店員@精文館書店中島新町店

くらげに胸キュンする日が来ようとはね。くらげですよ、時代はくらげ!

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1
2020年06月16日

みんなのレビュー (1)

まつばら

(無題)

starstarstarstarstar 5.0 2020年07月17日

「だって、理不尽じゃ、ないですか」 「全部、全部、理不尽ですよ。何もかも」P156 理不尽な世の中、無力な自分、変えられない現実… それらに抗おうとするように、少女はクラゲを呼ぶ。ほとんどの人が目を背けてしまうものにまっすぐと向き合うことは勇気がいることだ。周りの人から白い目で見られることもあるだろう。それでも信じ続ければ、動き続ければ奇跡は起きる。現実世界では奇跡は起こせないかもしれないけど、周りの人を動かすことはできるのかもしれない。物語の中に「目撃者の義務」という表現が出てくるのだが、実際の社会は「見て見ぬフリ」というか、「首をつっこんだら負け」というか、そんな空気が蔓延してるような気がする。それがまさに理不尽な社会だなぁと思うし、それで損をしてきた経験がたくさんある。誰しもが当事者のように、というわけにはいかないと思うが、少なくともこの社会を、この時代を生きている1人としての義務ってあるよなぁと思う。この小説の中でキーワードとして出てくるのが「読書」。共通の興味による繋がりっていいなぁと思うし、同じ本を読んでいる者同士ってなんだかその人を構成する要素の一部が同じ感じがして親近感湧くなぁと。それがマイナーな本なら尚更。読書に(小説家の父に)絶望している主人公だが、それを救ってくれるのもまた読書。

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