
民主主義とは何か
講談社現代新書
宇野 重規
2020年10月21日
講談社
1,034円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
トランプ大統領をはじめとする「ポピュリスト」の跋扈、旧社会主義諸国および中国など権威主義国家の台頭など、近年の世界の政治状況は、民主主義という制度の根幹を揺るがすかのような観を呈しています。日本の状況を見てみても、現行の政権が「民意」の正確な反映、すなわち「民主主義的な」政権だといわれると、頸をかしげる人も少なくないのではないでしょうか。はたして民主主義はもう時代遅れなのか? それとも、まだ活路はあるのか? それを議論するためには、まず何よりも、民主主義とは、そもそもどのような制度なのかを「正しく」知らなければならないでしょう。今では自明視されている「民主主義」という制度ですが、人が創ったものである限りそれもまた歴史的な制度として、さまざまな紆余曲折を経て現在のようなものになったのであって、決して「自然」にこのようなになったわけでではないのです。 そこで本書では、ギリシア・アテナイにおける民主主義思想の「誕生」から、現代まで、民主主義という制度・思想の誕生以来、起こった様々な矛盾、それを巡って交わされた様々な思想家達の議論の跡をたどってゆきます。その中で、民主主義という「制度」の利点と弱点が人々にどのように認識され、またどのようにその問題点を「改良」しようとしたのか、あるいはその「改革」はなぜ失敗してしまったのかを辿ることにより、民主主義の「本質」とは何なのか、そしてその未来への可能性を考えてゆきます。 またあわせて、日本の民主主義の特質、その問題点についても分析してゆきます。 民主主義という思想・制度を知るための、平易な政治思想史の教科書としても最適です。 序 民主主義の危機 第1章 民主主義の「誕生」 第2章 ヨーロッパへの「継承」 第3章 自由主義との「結合」 第4章 民主主義の「実現」 終章 日本の民主主義 結び 民主主義の未来 あとがき
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タイトルそのまま。民主主義ってそもそも何?と聞かれたら答えられないような気がしたので手に取ってみた。例えばトランプのアメリカはポピュリズムで民主主義の危機だとか、日本でも密室政治や世襲が民主主義的ではないと批判されたりするけれどもそもそも民主主義とは何なのか、が分からないとどこかおかしくてどう修正すべきか分からないのでは無いかと思う。本作では古代ギリシャはアテナイで生まれた民主主義がどのようなもので今日に至るまでどのような変遷を経て来たか、が説明されている。全く不勉強なので元々のギリシャの民主主義が全員参加(但し女性と奴隷は除く)であることは知っていたが選挙ですら権力の集中を生む、として否定され基本的には抽選で指導層を決めていた、ということに驚いた。社会が複雑になるし従ってそのような民主主義は機能しなくなり王政や寡頭政が一般的な時代が長く民主主義という言葉すら否定的なニュアンスであったということも知らなかった。19世紀になって王政などが機能しなくなった段階でいかに民主主義を機能させていくか、ということが試行錯誤されてきた歴史が解説されておりそれら踏まえて現状の「民主主義」が機能しているのか、という問題提起がされている、というふうに読み解いた。多数決がそして選挙が民主主義なのか、と言われたら単純にそのとおりとは言えないということがわかった、資本主義も民主主義も見直さなければいけない時代になっているというのが個人的な感想でこの辺の話については引き続きいろいろ読んでいってみたいと思う。
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のふぇあまん
民主主義って何なのさ
世界を見渡せばポピュリズムの台頭、独裁に近い指導者達の蛮行、政治家達の腐敗。民主主義って本当に理想的な制度なのか疑いたくなるような今日この頃です。 多数決と少数派の尊重の関係をどう捉えるか、民主主義とは選挙に尽きるのか、民主主義は制度か理念か、の3つの問いかけから始まる本書は、民主主義の思想と制度の歴史を振り返りながら、今日的な課題の中から、民主主義とは何なのかを丁寧に考察した良書です。 ポピュリズムの問題は代議制民主主義への不信と グローバルな格差拡大を背景としたもので、両者の解決なしには乗り越えられないこと、独裁と民主主義については、民主主義の本質を再認識し真の民主主義の実現のためのアイデアを競い合いことが必要と著者は考えます。 著者も言うように、本書は現実を批判し理想的な民主主義の形を提案したものではなく、歴史を振り返ることが主となっていますが、逆にそれ故に民主主義の本質は何かを読者に考えさせることになっているように思います。 多くの学者や政治家の思想が端的に語られているのもわかり易くて興味深いものです。 カール・シュミットの「独裁」論はナチスの例を見るまでも無くこれに汲みするものではないが、民主主義の本質を「同質性」、自由主義の本質を「討論」として、両者の間にある対立と緊張を提起したことには注目させられます。 いずれにせよ、私たち一人一人が「政治への参画と責任」を自分ごとと捉え、民主主義の可能性を模索していくこと、このことが重要だと考えさせられる内容でした。
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