本のエンドロール
講談社文庫
安藤 祐介
2021年4月15日
講談社
1,012円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
本の奥付に載っている会社名の後ろには、悩みながらも自分の仕事に誇りを持ち、本を造る「人」たちがいる。豊澄印刷の営業・浦本も、日々トラブルに見舞われながら「印刷会社はメーカーだ」という矜持を持ち、本造りに携わる一人。本を愛する人たちの熱い支持を集めた物語が、特別掌編を加え、待望の文庫化!
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印刷所はメーカーか? 本の在り方が変わりつつある現代と向き合い、「本」の価値を問い直す本づくり小説
本の「奥付」は、いわばエンドロールだ。実際に掲載されている人名、社名の背後に、その本づくりに携わった多くの人の名が隠れている。 浦本は老舗出版社の関連会社である豊澄印刷の営業。ある日自身の口をついて出た「印刷所はメーカーだ」という言葉に気付きを得る。 浦本は日々本づくりに奔走するが、出版社の意見に寄り添いすぎだと、工場の野末に「伝書鳩」と皮肉られてしまう。出版社の希望を可能な限り叶え、よりよい本をつくろうと思うのは印刷所には不要な姿勢なのだろうかと自問自答する。 紙の書籍の売上が下がり続け、電子書籍のニーズが見込まれる、そんな、本の在り方が変わる時代に本づくりを考える。本が具体的に姿を得る場所である印刷所を舞台に描いた小説。 最初は主人公に馴染めなかったが、段々と仕事振りが安定してきて読みながらひやひやしなくて済むようになり、後半は楽しかった。 工場見学したことがあると場面場面が脳内で映像化できるので、工場見学好きはとても楽しい! 特に文庫版の書き下ろしは疑似で工場見学をしている気分に。働く機械かっこよき。 大きな印刷機が物凄いスピードで、印刷した紙を吐き出していくのって見てて楽しいよね……。あとなんと言っても調肉。調肉はイイ……見ていて寿命が延びる……。
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(無題)
本を造る人の物語。印刷会社はメーカーと言う浦本。営業の仕事は注文された仕様を忠実に再現する仕事と言う仲井戸。ただ本を造りたい工場責任者、野末。楽しく仕事をする職人、ジロさん。夢を追いかけているDTPオペレーター、福原。横柄だけど熱いときは熱い出版社担当、奥平。編集でノルマを達成できず転社して取次へと転身した天草。電子書籍の台頭で印刷する本は沈みゆく船同然。だが夢を持つ人たちの手でまだまだ本は造られる。本は必需品だ。
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