法廷遊戯

良い結末があり得ない設定　評価4.0 あまり優秀ではない法科大学院が舞台。そんな中ですでに司法試験に合格している馨と優秀で同じ施設に出所をもつ清義と美鈴が主人公。 　模擬裁判のような無辜ゲームが成り立つかどうかは疑問なきもするが、これがこの物語りの前提となっている。そんな中、清義と美鈴の秘密を暴こうとするものが現れる。そして読者も気づくとは思われるが無辜ゲームが本当の犯罪に対して無力であることが述べらる。事態は一旦小休止のように卒業を迎え、清義と美鈴は司法試験に合格する。 　馨が殺害されて物語は第二部へ、本番を迎える。容疑者は美鈴、弁護人は清義と再度主人公が揃う。美鈴と清義の過去の話は同情すべき点も多いが、馨が美鈴を盗聴していたこと、馨の父親が亡くなっていたことなどから嫌な予感がして読み手が進まなくなる。　 　美鈴と清義の過去の罪が本当ならばこれは受け入れがたい。個人的にも到底許せるものではなく、もう死刑にでもなんでもなってしまえという感情が沸き起こる。その一方で清義が弁護人を務めた権田とのストーリーは心打たれる。 　様々な思惑の中美鈴は無罪を勝ち取る。だが、真相を知った清義の選択は。　 　良く練られた物語で夢中に読めて評価も高い。ただ、いくら恵まれない環境にあったとしても美鈴と清義の罪は無理だ。繰り返すが受け入れがたいし、この設定の時点で良い結末などあり得ず、苦しいストーリーであった。

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