
米原万里の「愛の法則」
集英社新書
米原万里
2007年8月31日
集英社
858円(税込)
小説・エッセイ / 新書
稀有の語り手でもあった米原万里、最初で最後の爆笑講演集。世の中に男と女は半々。相手はたくさんいるはずなのに、なぜ「この人」でなくてはダメなのかー“愛の法則”では、生物学、遺伝学をふまえ、「女が本流、男はサンプル」という衝撃の学説!?を縦横無尽に分析・考察する。また“国際化とグローバリゼーション”では、この二つの言葉はけっして同義語ではなく、後者は強国の基準を押しつける、むしろ対義語である実態を鋭く指摘する。四つの講演は、「人はコミュニケーションを求めてやまない生き物である」という信念に貫かれている。
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(無題)
かつて私が経済活動に現役で従事していた頃の話である。企業の資金調達は間接金融が当たり前で、債権や転換社債などの直接調達はまだまだ一般的ではなかった。一方国民はと言えば、余裕資金はせっせと預貯金にため込んだものであった。当時世界第2位と言われた国民の金融資産を貯蓄から投資へと誘導したのが、金融ビッグバンであった。これに伴い自由化された日本の金融市場にビジネスチャンスを見出して、大挙して押し寄せたのが欧米の金融資本であった。彼らが先ず手掛けたのは、生保や信託銀行の機関投資家に資金を運用委託している年金基金の啓蒙と営業攻勢であった。このために、外人講師による資産運用セミナーが頻繁開かれるようになった。そんなセミナーに参加した時の話である。都心の一流ホテルを会場にして、同時通訳付きとなれば、そこにいるだけで国際社会の第一線に立ったようで誇らしい思いを持ったものだった。さて、本題はここからである。通訳の話す事がサッパリ理解できないので、頭を抱えることになった。その原因は自らの不勉強によるものと反省はしたものの、周りの人に聞いてみると、それは私ばかりではない事が判明した。どうやら、その原因は同時通訳にあったのだ。本書はその原因を明確にしているので、改めてそんな事を思い出した次第である。 例えばこんな通訳である。『プレスリリースにもありますように、実にエポックメイキングでクリエイティブなコンセプトでありまして、これにマッチしたハートウォーミングて、アイキャッチングなコピーをプリントいたしますので、フランクかつホットなディスカッションをお願いします』。そう、私が経験した同時通訳もこんな調子であった。本来であればエポックメイキングは画期的、クリエイティブは創造的と翻訳しなければならないところを、英語をカタカナに置き換えてテニヲハを追加しただけの日本語である。日本語の構造上、これで日本語になってしまうのだから、仕方ないが、著者に言わせればコレは明らかに手抜きの通訳だと言う。 著者の本職は、ロシア語の同時通訳であるから言える言葉だ。本書は著者最晩年の講演を書籍化したものだと言う。講演4回分、四章からなる。第一章は書名ともなっている「愛の法則」。著者が本領発揮している得意分野である。他の三章は本業の通訳にまつわる著者独自の考察からなる。
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