我が家の問題

集英社文庫

奥田英朗

2014年6月25日

集英社

616円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

夫は仕事ができないらしい。それを察知してしまっためぐみは、おいしい弁当を持たせて夫を励まそうと決意しー「ハズバンド」。新婚なのに、家に帰りたくなくなった。甲斐甲斐しく世話をしてくれる妻に感動していたはずがー「甘い生活?」。それぞれの家族に起こる、ささやかだけれど悩ましい「我が家の問題」。人間ドラマの名手が贈る、くすりと笑えて、ホロリと泣ける平成の家族小説。

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Readeeユーザー

家族に正解はない

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4.3 2021年07月24日

【何を我慢していますか。何を譲って毎日暮らしていますか】 思い出作りの人である妻。形にこだわる彼女の人生はスタンプラリー。 申し分のない妻。 毎日の料理が凝っていて負担を覚える。 妻が人生の思い出づくりに邁進する。 彼女の中に幸せのシナリオがあって、それがあまりに乙女チック。 大人なのに純粋で皮肉を言わない。 妻に何の落ち度もない。でも、息苦しさを覚え、家に帰りたくなくなった。 家に帰るのに気持ちを入れ替えるため、家に帰る前に喫茶店で時間を潰す毎日。 価値観の違い? 我慢のし過ぎ? そういう時は、一度派手に夫婦喧嘩をしたほうがいい。 お互いの感情をいっぺん吐き出して、すっきりする。 人生はながいし、喧嘩なしではいられない。どこかでぶつかるのだから。 喧嘩をしたくない、争うのが苦手。 そんな気持ちで何年もお互いいて、喧嘩の仕方を知らずにいたら、どうなるだろう。 お互い遠慮して。 お互い不安に思って。 お互い疑心暗鬼になって。 ぶつかり合うことは、信頼しているからできること。 悪いことではない。 本当の気持ちを言い合って、お互いにきちんと受け止めること。 それが人生の相方として、長く隣にいることができる秘訣かもしれない。 【家族にはマニュアルはない】 いつからか夫がUFOと交信できると言い出した。冗談ではなく真顔で。 夫が変だ。笑っちゃうくらいオカシイ。 元OLのネットワークを使い調べてみると、夫は仕事で会社の派閥の板挟みの立場にいて、仕事が半端なく回され続けている状態だという。あっちに気を使い、こっちに気を使い、仕事も四つも五つもプロジェクトを掛け持ち。休日出勤なんてしょっちゅう。夫は、そのうち壊れてしまうかもしれない。 これからお父さんを救出してきます。 健康第一、家族も第一、お金はずっと下。 会社を辞めて欲しい。それか休むか。 明日の朝、わたしが会社に電話する。夫が倒れたって。断固言います。 会社は困らせればいい。なんとかなる。会社ってそういうものだ。 人生の相方のSOSに気がつけるか。 何が大事か。何を守りたいか。そのために行動に移せるか。 笑っちゃうくらい変な救出の仕方だったけれど、すごく真剣で、すごく愛情を感じた。 きっとこの先何があろうとも、この家族は大丈夫だ。そう思う。

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Readeeユーザー

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starstarstarstar 4.0 2019年01月11日

新婚なのに家に帰りたくない夫。甲斐甲斐しく働く妻に遠慮しながら自分の時間を確保する生活。 仕事ができない(かもしれない)夫のために、せめてもと手作りのお弁当を作る身重の妻。 祖母からの迂闊な電話で知った両親の離婚(の危機)。受験勉強も手につかず揺れる娘。 UFOと交信する夫。とにかくぶつかって行く妻。これからお父さんを救出してきます! それぞれの実家に里帰りする新婚夫婦。お互いが気を使い、お互いが気に入る相手の実家。 マラソン大会で走る妻。忙しい作家の夫とあまりしゃべらない息子は、大会を通して一つとなる。 NHK BSでやってたドラマの原作。ユニークなキャラクター、エスカレートする展開、ほんわかした結末が楽しい一冊。

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(無題)

starstarstarstar 4.0 2018年06月20日

新婚なのに家に帰りたくない夫。甲斐甲斐しく働く妻に遠慮しながら自分の時間を確保する生活。 仕事ができない(かもしれない)夫のために、せめてもと手作りのお弁当を作る身重の妻。 祖母からの迂闊な電話で知った両親の離婚(の危機)。受験勉強も手につかず揺れる娘。 UFOと交信する夫。とにかくぶつかって行く妻。これからお父さんを救出してきます! それぞれの実家に里帰りする新婚夫婦。お互いが気を使い、お互いが気に入る相手の実家。 マラソン大会で走る妻。忙しい作家の夫とあまりしゃべらない息子は、大会を通して一つとなる。 NHK BSでやってたドラマの原作。ユニークなキャラクター、エスカレートする展開、ほんわかした結末が楽しい一冊。

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(無題)

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3.2 2018年01月25日

この本が描いているのは「我が家の心の中の小さな幸せ」である。現代が閉塞感に満ちた不安の時代と指摘されて久しい。そんな今に生きる人々の心に光を当て、心の持ちよう、ものの考え方、あるいは認知行動療法の手法を用いて絶望的状況から脱出する人々を描いてみせる。時代とともに生きる30台や40台の世代の共感を得るであろう作品である。 ここで世代論を展開することが許されるなら、先ずは自分の事を申し述べたい。僕は団塊の世代なので本書に登場する人々の親の世代と言って良いだろう。僕らの世代の家族モデルは、モーレツサラリーマンの夫と専業主婦の妻、子供2人の四人家族である。子供達は個室を与えられ、自立した個人であってもらいたいと願う親は出来うる限り最上の教育を受けさせたいと努力する。本書の表紙を飾っているのは、高層マンション群のジオラマである。集合住宅の一戸一戸に家族があり、さまざまな生活や思いがある事を暗示している。団地族という言葉が当てはまるのは、僕ら団塊の世代よりもう少し前の世代のだったと記憶している。しかし、鉄筋コンクリート製の集合住宅に居住するようになって、人々の意識やライフスタイルは大きな変貌を遂げた。その内のひとつとして、人間関係における距離の取り方をあげて良いだろう。人々はかつてのような濃密な人間関係を嫌うようになったのだ。また、僕らの世代は亭主関白で子育ては妻任せで済んだが、今はイクメンの時代である。人は生まれや育った環境でさまざまな個性を開花させる。背負ってきたものが違う他人が同居するのが夫婦であるならば、その違いによってお互いが戸惑いを覚えて当然である。完璧すぎる妻のおかげで帰宅拒否症になった夫の物語が第1話「甘い生活?」である。 第2話「ハズバンド」は、夫が仕事のできない男かもしれないと気付いてしまい苦悩する妻を描く。このお話の良いところは、夫の無能さに気づいて夫を見限るのではなく、会社での夫の立場が好転するように内助の功を発揮する妻が健気であり愛情に溢れているところだ。しかもその手段が実に女性らしくて平和的だ。男性でありながら、こんな発想を持てる作家に脱帽である。

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