女と味噌汁改訂新版
集英社文庫
平岩弓枝
2016年3月18日
集英社
550円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
舞台は昭和40年頃、東京・新宿に近い花柳界、弁天池。芸者のてまりこと千佳子には、なぜだか次々と、厄介なもめごとが降りかかる。浮気や嫁姑問題、後輩芸者の恋愛騒動…。料理の腕も活かしながら、千佳子はそれらを解決していく。一方で、自慢の味噌汁を売る夢も抱く。気丈に生きていく彼女だが、幸せな結婚にも憧れて…。現代にも通じる、女の生き様を颯爽と描いた平岩文学の傑作。文字が大きい新装版で登場!
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wata_yumi
私の名前の由来となった小説家
ギラギラしたビジネス書や、参考書ばかりと付き合ってきた数年間。だからなのか、弓枝さんのやわらかい日本語が妙にあったかくて。棘はないけどちょっと毒(ウィット)のある、主人公てまりの言葉や生き方にたくさん勇気をもらった。 戦後の新宿界隈。毎日訪れる小事件に悩み、揺れながらも、自分らしく凛と生きる芸者の女性が主人公のお話。男女平等が当たり前の世代に生まれたことが、どれだけ幸せなことか!一方で、(身体が逞しい方ではないから) 女性が「女らしさ」の元に守られていた時代が少しだけ羨ましく美しくも見える。一種類だった幸せや成功の形が少しずつ増えていく...そんな昔のようで今日のことのような話だった。 たとえば・・・糠床ひっかきまわして漬物漬けるけど、漬け方はアレクサにレクチャーしてもらう。空気が綺麗な田舎でアップルウォッチつけてランニング。畳と土の匂いがする縁側で大都会とスカイプミーティングetc うまく言えないけど、昔なら意味不明だった振り幅 、今となっては当たり前。「平成に生まれたことって、人に優しくできる土台が整えられてるってことかも。それなら人にも自分にも優しくおおらかでいよう。」と思えた。 いい意味で距離やゆとりを大切にしていこうと思わせてくれる、ゆとり世代の私にとって大切な大切な一冊になった。
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