
第三の時効
集英社文庫(日本)
横山 秀夫
2006年3月31日
集英社
968円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
04年「このミス」第4位の名作! 時効の発生は事件発生から15年。しかし容疑者が事件後海外に滞在したため、7日間のタイムラグがある。F県警はこの間に容疑者を追いつめようと…。サスペンスとドラマ、警察小説の傑作連作集。
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みんなのレビュー (4)
好みは一班班長朽木さん
警察ミステリで一番好きな作家さん。 F県警強行犯シリーズ短編集です。どれも癖のあるツワモノ揃い。俺が俺がのソウイチの中でも班長の癖が一番濃い。一班の朽木班長の捜査方法はスタンダードな【理詰め型】決して笑わない男、二班の楠見班長を【搦手型】【謀略型】と称するなら、三班の村瀬班長は【閃き型】【天才型】の動物並みの嗅覚を有する。どの班もどの班よりも実績をあげようと競争させる人事をしたツワモノは刑事部長の田畑さん。この人が一番狸じゃないかと思う。 題名にもある、第三の時効の担当は二班。搦手の楠見が犯人に仕掛けた第三の時効。これは荒業、余程のことがない限り使えない手法、どれだけ頭が切れるのか、すごいの一言。 密室の抜け穴を担当したのは、三班の村瀬、嗅覚で犯人をあぶり出し、誰にも気が付かれずに罠を張り、密室に閉じ込めて抜け穴を掘らせ自爆させた、その手法の鮮やかさ。 沈黙のアリバイで担当したのは一班、危うく犯人にしてやられた捜査員の失態を見事に逆転ホームランにさせた、冷静沈着笑わない男朽木。 癖の有りすぎる班長の下には、班長を崇め慕う忠実な捜査員たち。カリスマ性がスゴイ。 短編集でそれぞれの班が解決するお話が多いですが、一班の朽木と三班の村瀬が手柄を争う事件も面白い。 一気読みです。
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(無題)
舞台はF県警捜査一課強行犯捜査係。 ここは殺人、傷害など人の命に関わる捜査部署です。絶対に笑わない青鬼こと一斑班長・朽木泰正。検挙のためには手段を選ばず部下からも毛嫌いされ,特に女性被疑者に対する姿勢は冷酷極まる元公安の二斑班長・楠見。動物的カンで事件の核心に迫り,部下同士を争わせることも厭わない三斑班長・村瀬。花形警察官にして強面、この三人を巡って物語が展開されます。 本作は六編からなる短編連作なのですが、書名となっている『第三の時効』が矢張り1番の出来でしょうかね。第三の時効の意味がハッキリとするラストのトリックも面白かったし、どんでん返しも意外でした。短編とは思えない重厚な作品といえます。何よりも読んでいてゾクっとさせられるほど凄味のある楠見の人物描写がいいですね。目的達成の為なら人を人とも思わないこんなタイプの人間が身近に居たなら、正直な所勘弁してほしいと思われますが、強行犯捜査の第一線刑事としては頼もしい限り。その楠見が持ち前の粘り強さで事件を解決していきます。
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もこりゅう
重く、男臭い作風は、読み応えあり。
横山秀夫お得意の警察物の短編小説。短編といっても舞台や登場人物は一緒であり、オムニバス形式で事件ごとに話が進む。 ほぼ無敗を誇る、F県警の捜査一課強行犯係の1〜3班のお話。1班班長「青鬼」の朽木、2班班長「冷血」楠見、3班班長「天才型」の村瀬。それぞれ魅力があるが、個性的であり、一癖も二癖もある人物ばかり(朽木の「青鬼」は、情もあるからなのかなぁ)。プライドと意地がぶつかり合いながらも、事件を解決していく。特にお気に入りは、「ペルソナの微笑み」。取調べ室の会話が妙でおかしい。 私的には横山秀夫は「クライマーズ・ハイ」が最高傑作。今回の作品もこれは越えなかったが、重く、男臭い作風は、読み応えあり。 舞台や登場人物がせっかく一緒なのに、話自体はほんとに分断されている。根に一本の事件があって、最後に解決する、といった展開がないのが残念。伏線を張っておいて、最後にドーンと、というのがあったらもっと面白かっただろうなぁ。
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