みかづき
森 絵都
2016年9月5日
集英社
2,035円(税込)
小説・エッセイ
昭和36年。小学校用務員の大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親、赤坂千明に誘われ、ともに学習塾を立ち上げる。女手ひとつで娘を育てる千明と結婚し、家族になった吾郎。ベビーブームと経済成長を背景に、塾も順調に成長してゆくが、予期せぬ波瀾がふたりを襲いー。山あり谷あり涙あり。昭和〜平成の塾業界を舞台に、三世代にわたって奮闘を続ける家族の感動巨編!
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(無題)
優れた作品はプロローグから、それなりの手応えがあるものだ。読み始めから本屋大賞第2位だけのことはある、と感じた。本書は学習塾業界を舞台にした大島家三代50年の物語だ。大作である。 家族って何だろう。そんな思いを新たにした作品だった。かつて、こんなシーンがテレビ放映された。ものまねタレント清水某の娘が覚醒剤使用で逮捕された際の記者会見が目に焼き付いて離れない。彼は「家族だから」って、カメラの前で泣きじゃくっていた。その思い入れってどこから来るんだろう?。娘と言っても30を過ぎた大人である。芸能人であれば、テレビで叩かれるのは致し方なかろうと思う。しかし、無条件に娘を許し守ろうとする感情ってなんなんだろう。私には理解できない。 さて、教育問題は常に社会問題の一面をはらんでいる。給食費を払えない児童がいる。何故給食費が払えないのか。それは親がシングルマザーで、非正規雇用の低賃金であったりするからだ。今日の女性や子供の貧困といった社会問題は、教育現場に色濃く反映されるのだ。 この物語が始まる昭和36年は、高校進学率が60%となった年である。進学率が高まり教育を受ける機会が拡大するのは、喜ばしい限りであるが、高校進学を目指しても選抜試験で入学が認められずに浪人する生徒が出てきたのは、進学率高まりの負の一面であった。そこに学習塾や進学塾の需要が生じた。赤坂千明が学習塾を立ち上げたのには、そんな時代背景もあった。文部省や学校教育に疑問を抱いていた千明が塾経営で教育現場に一波乱起こそうとするのは当然の成り行きでもあった。その塾経営と人生のパートナーとして選ばせたのが小学校用務員の大島吾郎であった。千明はこんな風に述べている。 「学校教育が太陽だとしたら、“塾”は月のような存在になると思うんです」 陰と陽、互いに補い合う存在。太陽は自らが輝くのに対して、月は太陽の光を浴びてはじめて自らの存在をアピールできる。ガムシャラで強く信念の道を行く千明、その心の中は、望月を目指して満ちようとする強い意志で満ちていた。
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(無題)
教育界の話。学校教育と塾と文科省と… 戦後から平成まで長い時代にわたっての話。 面白いかといられれば面白いわけではない。笑 でもなんか気になって厚い本だけど2日で読んでしまったな。 教員だから楽しめる?のかもしれないし、モヤモヤするのかもしれないし、色々考えながらも登場人物のそれぞれの人柄は個性があり物語としても面白いなと思いながら読めた。
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