名も無き世界のエンドロール
行成薫
2013年3月5日
集英社
1,430円(税込)
小説・エッセイ
俺とマコトは小学校時代からの腐れ縁だ。マコトは昔からドッキリを仕掛けるのが生き甲斐で、社長となった今も変わらない。そんなヤツが、史上最大の「プロポーズ大作戦」を実行すると言い出したー。天使よりも純情。悪魔よりも非情。男たちの命がけの情熱は、彼女に届くのか?第25回小説すばる新人賞受賞作。
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人生をかけた最初で最後のプロポーズ大作戦
断片的にすすむ物語。果たして最後に何が待ち受けるのか、構成がすごく考えられた作品だったと思う。ただのプロポーズ大作戦ではないので、恋愛系が苦手な人も食わず嫌いせずに読んで見てほしい。 my favorite scene─────────── 「やりきった感があるからじゃないかな。誰かの物語の中に二時間くらいだけ入り込んで、同じ時間を生きて、同じ感情を抱いて、一緒に笑って、一緒に泣いたわけじゃない?あたしは傍観者に過ぎないかもしれないけどさ、それでも映画の世界が終わって、自分だけが現実に弾き出されるのって辛いんだよね。だけど、もうほんとに物語がすべて出し尽くすのを最期まで見て、何もかもが終わったら」 ヨッチは一旦息をつき、水を口に含んだ。 「終わったら?」 「あたしはあたしの物語を生きなきゃ、って気になるんだよ。生きなきゃ、って」 ─────────────────── 「完璧主義者ってのはさ、結局は欠陥品だ」 「欠陥品?完璧主義なのにか」 「だって、人間なんて元々不完全で、完璧なものはこの世にはないんだ。それなのに、理想通りのきれいな人生じゃないと我慢できない。完璧に、完璧に、と追求してさ、不完全さを容認できないせいで、結局は完璧じゃなくなるんだ」 ───────────────────
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