世界地図の下書き
朝井リョウ
2013年7月5日
集英社
1,540円(税込)
小説・エッセイ
突然の事故で両親を亡くし、「青葉おひさまの家」で暮らすことになった小学生の太輔。悲しみでしばらく心を閉ざしていたが、同じ部屋の仲間たちのおかげで少しずつ打ち解けていく。とくにお母さんのように優しい高校生の佐緒里は、みんなにとって特別な存在。施設を卒業する佐緒里のため、4人の子どもたちは、ランタンに願い事を託して空に飛ばす「蛍祭り」を復活させようと、作戦を立てはじめる…。直木賞受賞後第一作!
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(無題)
「何者」で直木賞を受賞した朝井リョウの受賞第一作。「水曜日の南階段はきれい」を読んでこの作家は只者ではない、と思ったものでした。しかし、今回はいただけませんね。何より心を動かすものがありません。子供の日常を淡々と描いていますが、果たして親とともに生活出来ない事情を抱えた子供の心理をどこまで捉えているかと感じてしまいます。 辛うじて最終章での、佐緒里の台詞に作者からのメッセージが込められています。それは、困難に立ち向かうだけが勇気じゃない。逃げてもいいんだよ。逃げた先にも、同じだけの希望がある。私たちは、絶対にまた私たちみたいな人に出会える。その先がダメでも、また先、そのまた先、きっと希望はある。あるはずだと言うものです。 本書は、児童福祉施設で暮らす小学生たちの物語です。突然の交通事故で両親を亡くし、児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らすことになった小学生の太輔が主人公です。悲しみでしばらく心を閉ざしていましたが、同じ班の仲間たちのおかげですこしずつ打ち解けていきます。とくにお母さんのように優しい佐緒里は、みんなにとっても特別な存在です。そうはいっても、それぞれが事情を抱えているのですから、なお癒されない孤独と痛みからは逃げることはできません。高校卒業とともに人生に大きな夢を抱いていた佐緒里は、やはり家族の事情ために大学進学を諦めて、親類の印刷所で働くことになりました。彼女を慕う4人の子供たちは、ランタンに願い事を託して空に飛ばす「蛍祭り」を復活させようと、作戦を立てはじめたのでした。
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