どうして人はキスをしたくなるんだろう?
みうらじゅん / 宮藤官九郎
2013年9月30日
集英社
1,320円(税込)
小説・エッセイ / 美容・暮らし・健康・料理
男と女、人生、趣味と仕事…くだらなすぎて今さら人に聞くのは恥ずかしい“素朴な疑問”に永遠の中2たちが真っ向から挑む!ロマンチックで下世話な哲学問答集。
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(無題)
「どうして人はキスをしたくなるんだろう?」 こんな素朴な疑問に明確にしかも説得力をもって答えられる人はどれだけいるだろうか。 そんなの本能だから当然。あるいは、人間の三大欲望、食欲・睡眠欲・性欲は個体維持や子孫繁栄のために遺伝子に刻み込まれているからだ、と説明する人もいるかもしれない。しかし、もう少し立ち入って考えて見ると、事はそう簡単でないことが分かる。何故ならキスはセックスの前戯ばかりでなく、それだけで終わってしまう事も数多い。そもそもセックス自体が生殖目的で無くなっている。生殖目的であれば他の動物と同じように発情期があればより効率的に子孫を残すことができるのに、人間はいつでもセックスできるようにプログラミングされている。これはどうした訳であろうか。 如是我聞(このように私は聞いた)。お経の冒頭には必ずこの四文字が置かれている。お経は釈迦の説法を弟子の阿難が記録したものである。弟子が疑問を釈迦に発し、釈迦がそれに答える。言ってみればQ&A形式である。悟りを開いた釈迦が人生の深淵なテーマに答えているのだから、お経を読めば人生の迷いは霧散するはずである。ところがそこが凡夫の浅はかさ。分かったような、わからないようなお経は返って迷いを深くするのがオチである。さて、考えても結論がでない事柄を対象にする学問を形而上学という。本書には前述のキスに関する疑問の他に、素朴で本質的であるがゆえに魅力的なテーマが35編収録されている。 本書の最大の魅力はそれらのテーマへのアプローチの仕方である。正面からがっぷり四つに組んでいるわけではない。はっきり言えば酒の肴にして楽しんでいるのである。青少年諸君、本書には君らが抱く生きる上での疑問が数多く収録されている。しかし、本書にANSERがあると期待してはいけない。大人になった諸氏よ、本書には酒場で繰り広げるべき話題や話の展開技術が満載である。仲間内で人気者になりたければ、本書を参考にすべきである。
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