憂夢（3）

1本のビデオテープを発端とする、数々の不思議なストーリー。 ▼第1話／クラブを持つと…▼第2話／定時の男▼第3話／THE ROOM▼第4話／めぐりあい▼第5話／猿のかくし湯▼第6話／夫がいない時間▼第7話／ホテルへのご招待▼第8話／昔の人よ…今？▼第9話／あなただけの就職ガイド▼第10話／夢に舞う宝くじ▼第11話／こんにちは、お正月▼第12話／ガラス越しのヒト▼第13話／夢のはじまり ●登場人物／マスター（ビデオショップ「YOUM」の主人。狂言まわしの役目をする）。 ●あらすじ／敷島正雄と大嶋桐子は、ゴルフが共通の趣味であり、結婚を前提に付き合っている。いつものように2人でゴルフの練習をしたある日、敷島と別れてから転んでしまった桐子は、「YOUM」のマスターに助けられる。さっそく「YOUM」を訪ねた桐子は、「クラブを持つと…」というビデオを勧められて見るが、そこに映っていたのは彼女の見たことがない、怒り狂いながらゴルフをする彼の姿だった（第1話）。▼単調な毎日を過ごす中年の夫婦。夫は判で押したような生活リズムを守ることを好んでおり、妻はそんな夫に合わせた自分の生活に不満を持ち始めている。ある日夫を会社に送り出した後、彼女は久しぶりに外出し、友人の綾子を訪ねた。彼女は綾子に離婚の相談をしようとしていたのだ。話も一段落つき、綾子に連れられて「YOUM」にやってきた彼女は、マスターに「定時の男」というテープを勧められ、試写室で見ることにする。そこで彼女は、会社での彼の働きぶりを目にし、家庭での一時を守るために彼が会社で非常な努力をしていることを知る（第2話）。▼氷川一雄の住んでいる西新宿のアパートの取り壊しが決まり、彼は新しい部屋を探しに出る。しかし、西新宿では彼の希望の物件は見つからない。そんなとき、氷川はふと目にした「YOUM」に入ってみる。部屋を探していることを打ち明けると、マスターは「THE ROOM」というビデオを推薦してきた。アパートで彼がこのテープを再生すると、さまざまな部屋が映りだすが、その中に彼の見覚えのある部屋が「9990円で貸す」と謳われていた…（第3話）