
狼の牙を折れ
史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部
門田 隆将
2013年10月31日
小学館
1,870円(税込)
小説・エッセイ / 人文・思想・社会
公安捜査官「実名」ノンフィクション 東京・丸の内、三菱重工ビル。昼休みを終えようとするオフィス街に轟音と爆風が駆け抜けた。瞬く間に立ち込めた白煙、正視に耐えない遺体、身動きできない重傷者の上に容赦なく砕けたガラスの破片が降り注いだ。 現場に駆けつけた捜査官は、爆発の衝撃でコンクリートに生じたすり鉢状の孔に向かって心の中で語りかけた。 おまえら、やるのかよ。こんなことやっても世の中はなんにも変わりゃしないんだよ。なんでこんな罪もない人たちを殺すんだ。俺たちが「受けて立たなきゃいけない」じゃないかーー。 犯行声明を出したのは「東アジア反日武装戦線”狼”」。11件に及ぶ連続企業爆破事件の嚆矢だった。 史上最大のテロ「三菱重工業爆破事件」を引き起こした謎の犯人グループは、天皇暗殺まで企てていた。「狂気の犯罪」に警視庁公安部はどう立ち向かったのか。 捜査の指揮を執った土田國保警視総監の日記を初公開。日本で初めての公安捜査官「実名」ノンフィクション。今、最大の秘密組織がヴェールを脱ぐ。
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(無題)
公安警察と聞いて人は、思わず恐ろしいもの、あるいは社会の闇を垣間見た表情を浮かべる。戦前の特高の流れを汲む組織と知れば、誰しも触らぬ神に祟り無しと恐れをなす。ところで今年11月パリで発生した同時多発テロは世界を震撼とさせた。なぜなら、多くの人はこのテロ事件を他人事とはできなかったからだ。そう、こんなテロが日本で起きてもなんら不思議はないのだ。いや、それどころか、1974年には東京・丸の内で無差別爆弾テロ事件が発生していたのだ。東アジア反日武装戦線「狼」による三菱重工爆破事件である。この事件の捜査に当たったのがいわゆる公安警察である。 徹底した秘密主義とも相まって、日頃から胡散臭く見られている公安警察がこの時ほど頼もしくみられたことはなかった。本書は三菱重工爆破事件の捜査を通じて、広く国民に知られているとは言い難い公安警察の実態に迫る意欲作である。 公安警察は警察庁警備局を頂点に、警視庁公安部・各道府県警察本部警備部・所轄警察署警備課で組織される。主に国家体制を脅かす事案に対応する。国外的には旧共産主義国の政府、国際テロリズム、スパイ活動、国内的には、極左暴力集団、朝鮮総連、日本共産党、社会主義協会、市民活動、新宗教団体・セクト、右翼団体などを対象に捜査・情報収集を行う。 本書は三菱重工爆破事件の犯人グループを追いつめていく警視庁公安部の捜査記録である。当時の捜査官が次から次へと実名で登場し、地を這う努力のすえに犯人を追い詰めていく。この事件で逮捕されたのは7人。しかし、その後のダッカ事件などで3人が超法規的措置で海外に逃亡、死刑が確定した2人も、海外逃亡犯の裁判が終了していないとの理由で刑の執行ができないでいる。なんともやりきれない思いを抱かざるを得ない。
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