
黒幕
巨大企業とマスコミがすがった「裏社会の案内人」
伊藤博敏
2014年11月18日
小学館
1,980円(税込)
人文・思想・社会
借金の取り立てで住吉会に囲まれ、検察の予定調和捜査に噛みつき、リクルート江副浩正に意見し、内調と警視庁になぜか頼られ、中川秀直愛人醜聞では右翼と共闘し、『噂の眞相』に助け船を出し、銀座のクラブに巨費を落とす。-こんな男が実在した!腕と度胸で成り上がっていった実在の情報フィクサー・石原俊介の封印された半生に迫る傑作ノンフィクション!
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(無題)
この国がバブルに入る前の経済界は、表と裏の境界が曖昧で相互の世界を結ぶ案内人が必要とされた。撚糸工連、平和相銀、リクルート、東京佐川、金丸、ゼネコン疑惑などの事件にそっと寄り添うようにひとりの男の姿があった。男の名は石原俊介。そう聞いても彼の名を知る者はごく限られている。ところが当時、ベテランの経済記者や企業の広報担当で石原の存在を知らなければ、モグリと言われたほどだった。 石原の武器は「情報」であった。プロの経済記者にレクチャーする筋金入りの情報屋である。表にも裏にも張り巡らされた人脈を駆使して集められた情報の正確さと迅速さもさることながら、分析とそれに基づく予測は他の追従を許さないものがあった。豊富な情報量から、事件の背景を読み解き、事件の行く先を明快に示してみせた。ここら辺りが、マスコミ関係者や一流企業の役員たちが石原の元に通った理由だった。この為、石原の発行する会員制情報誌「現代産業情報」は一般にはほとんど知られていなかったが、企業の広報担当で、手に取ったことのない者はまずいなかった。本書は石原俊介の事を書いたノンフィクションである。だから、人間・石原俊介は描かれていない。そこが残念といえば残念だ。 石原俊介は共産党へ入党し、ソ連へも留学したことのあるバリバリの活動家であった。転向後は、一転して右翼団体と同居しながら情報誌を発行するなど、特異な人生を歩んだ。任侠系右翼団体から住吉会全体に人脈を広げ、裏の世界へも精通していった。石原が最初に名を上げたのが、平和相銀事件であった。あまりにも人脈、構図、背景が複雑なため、新聞記者も困惑する状況の中、マスコミが触れない「検察の思惑」と「政治との兼ね合い」にまで踏み込み、「情報のプロ」としての読みの確かさを披露したのだった。その実績を片手に、企業と顧問契約を結び巨大な収入を得るようになった。 石原が半分裏社会に足を踏み入れていながら、最後まで官憲の手に落ちなかったのは、顧問契約及び「現代産業情報」の講読料に満足し、手を出せば手中にできる利権に一顧だにしなかったからだと思われる。もうひとつ本書を読み終わって感じたことは「時代は大きく変わっているなぁ」との感慨と、情報をこれからどう捉えていったら良いか、との疑問である。これはむづかしい。
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