雨のち、シュークリーム

天音 美里

2020年9月8日

小学館

605円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

大好きな人を笑顔にするのは、手作りおやつ 「シュークリームは天使だ」「苺は誘惑のプリンセスだ」 おいしそうなものを見ると、思わず語ってしまう変な「くせ」を持つ高校二年生の桐原陽平は、調理部唯一の男子部員。顔も体も四角く、全体的にごつい上に無口なため、はじめは完全に浮いていた。部活で食べ物を目の前に語りだし、部員全員を引かせたが、優しく声をかけてくれたのが希歩だった。今では仲良しカップルとなった二人の出会いだ。 陽平の入部のきっかけは、家でのごはんづくりに役立てるため。小学生の頃に母と死別し、父と八つ年下の弟・朋樹と三人で暮らす陽平は、父と交替でごはんを作っているのだ。ときどき希歩が家に遊びに来て、朋樹と三人で料理をする。朋樹が「大きくなったら希歩ちゃんに告るから」と宣言したため、兄弟は恋のライバルでもあった。 母親の記憶がない朋樹のために、料理の苦手な母がつくったごはんを再現する「お母さんの日」の揚げパン。風邪をひいた希歩のために、陽平がつくる「すりおろしタマネギのスープ」……。温かくておいしいおやつとごはんが家族と恋人をやさしく包む、ハートウォーミング青春小説。 【編集担当からのおすすめ情報】 高校生カップルと、そこに割って入る小学生の弟という仲良しの三人。 母を失った兄弟と、その父親という男だけの三人家族。 それぞれの間をつなぐのは、風邪をひいた恋人につくるすりおろしタマネギのスープや、亡き母が作ってくれた思い出の揚げパンなど、手作りのおやつやごはんの数々。 かわいい恋と、切ない家族の物語が心を打つ青春&家族小説です。 第1回日本おいしい小説大賞、隠し玉!

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