黒澤明MEMORIAL10 別巻+2「羅生門」

DVDブック

野上 照代

2011年3月23日

小学館

3,630円(税込)

エンタメ・ゲーム

日本の至宝、ヴェネチア・グランプリ受賞作 昭和26年9月。『白痴』が不本意な形で公開、酷評され、失意のどん底にあった黒澤明。彼にもたらされたのが、「『羅生門』ヴァネチア映画祭グランプリ受賞」の報だった。この一報が、戦後の失意に沈む日本人に勇気を与え、日本の文化が世界で再評価される契機となり、黒澤が世界的映像作家への道を歩む第一歩となった。 労働争議により48年から古巣・東宝を離れていた黒澤明は、49年の『静かなる決闘』に続き、2本目の大映作品を撮影することになっていた。黒澤が取り上げたのが、当時全くの新人・橋本忍が芥川龍之介の「藪の中」を元に書きあげたシナリオだった。後に『生きる』『七人の侍』をともに生み出す盟友となる二人は、そのシナリオを『羅生門』に昇華させた。 黒澤は、その芸術の香り高いシナリオを、しかし静謐な文芸作品としては撮らなかった。見上げるほど巨大な羅生門のセット、バケツでぶちまけたような雨、目もくらむような陽光、濃密な男女の交情、無様な(したがって迫真の)剣戟。これはかつて誰も見たことのない芸術。そう、「映画」という名の芸術だった。 これは戦後の日本が世界にたたきつけた、映画という形を借りた挑戦状だ。 【編集担当からのおすすめ情報】 「黒澤明MEMORIAL10」の監修をお願いした黒澤映画の記録係・野上照代氏。計19作の黒澤監督の撮影に立ち会った氏が、初めて黒澤明と巡り合ったのがこの「羅生門」でした。そして今日も映画録音の重鎮である紅谷愃一氏が、見習いとしてついたのが「羅生門」でした。 今も健在の二人の、60年ぶりの同窓会で、京都の撮影所にさっそうと現れた若き黒澤明の思い出が語られます。当時としては空前のロケでの同時録音の苦労話、また完成した「羅生門」のフィルムを二度にわたって襲った火事など、ファンには必読の思い出話が語り下ろされます。

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