鹿鳴館
新潮文庫 みー3-35 新潮文庫
三島 由紀夫
1984年12月24日
新潮社
781円(税込)
小説・エッセイ / 人文・思想・社会 / 文庫
明治19年の天長節に鹿鳴館で催された大夜会。恋と政治の渦中に、交錯する愛憎、暗殺の企み、裏切り。乱舞する四人の男女が巻き込まれていく運命はー。“はじめて書いた俳優芸術のための作品”と三島が言った表題作。他に「怪物的女性」が登場する嫉妬劇「只ほど高いものはない」、六世中村歌右衛門のために書かれた「朝の躑躅」などを収録。自作解題付。
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(無題)
「鹿鳴館」読了。 戯曲苦手につき距離を置いていた作品でこんなに感動するとは。 さすがドナルドキーンさんの傑作評価だけある作品だと思った。 源氏供養や熊野などが収録されている三島由紀夫全集23巻が未払いのままであるがこのまま購入はせず読まずにいようと思う。 源氏など私の趣向に合った興味深い本であるが、 「鹿鳴館」以上の感動を与えてくれるとは少なくともタイトルからは感じられないからだ。 夫婦の舞踏で終わるラストシーンは、父娘の舞踏で終わる原節子の映画「安城家の舞踏会」を彷彿させるが、チエホフの「桜の園」のように希望を示唆して終わる「安城家〜」と、闇を示唆して終わる「鹿鳴館」ではまるで違う。 三島由紀夫=作り込まれた虚構という印象が少し覆され、人間の愛憎が如実に表現されていて、 小説ではなく舞台でみればなお感動したことだろう。
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