
クローゼット
新潮文庫
千早 茜
2020年11月30日
新潮社
649円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
十八世紀のコルセットやレース、バレンシアガのコートにディオールのドレスまで、約一万点が眠る服飾美術館。ここの洋服補修士の纏子は、幼い頃の事件で男性恐怖症を抱えている。一方、デパート店員の芳も、男だけど女性服が好きというだけで傷ついた過去があった。デパートでの展示を機に出会った纏子と芳。でも二人を繫ぐ糸は遠い記憶の中にもあって……。洋服と、心の傷みに寄り添う物語。
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服の修復に絡めた心の修復
千早茜さんには脱帽です。本当に素晴らしい作家さんだ! 幼少時にとあることがきっかけで心に傷を負い、閉じたままの纏子。 そして、彼女が心に傷を負った事件に関与していたけれどもそれを知らず纏子と知り合う芳。 二人の関係性と、纏子が少しずつ開いていく様子の描写、そしてアンティークな服の補修士としての仕事振りが見事に関連し合います。 新品のように直すわけではない。 服にはその人が記録されている。 その服が今、ベストであるように、どこにも無理がないように直せるところにだけ手を入れて行く…最新の注意を払いながら。 人の心の修復もそれでいい。 無理にポジティブに、とか、乗り越えて、なんかなくていい。 寄り添い、待つことの大切さと、弱さの中にある強さが、しかしさりげなく描かれているので心の奥にずしん、と心地良く響きました。
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(無題)
安定の千早さんクオリティ。静かで凛とした文章だなあといつも思う。 高木が所蔵庫に晶と纏子と芳閉じ込めちゃったところと、晶が最後亀のタトゥーの男と再会してしまってそれをきっかけに芳が昔仲の良かった女の子だと知るところ、が出来すぎのような気はした。 文が美しすぎるからあまり気にならないものの、繊細すぎる登場人物の気持ちがたまに作りもののように思えることがある。勧善懲悪の気があるというか……芳を殴った男の子とかも、そこまでする?感がある。 ミユキさんは芳と付き合ってんのかな。芳の女遊びの激しさが仄めかされてると思ってたからなにもなくて拍子抜けした。 あと纏子が乱暴されたとき、芳は結局被害を何も受けなかったんだろうか?だとしたら纏子の記憶違いってことなのかな、、 まーー私自身が服に関心なさすぎるのが悪い気もするなーー全然いい服着たいと思わないから服の記述に大抵興味をもてない。それでもぐいぐい読めたからやはりこの本は描写が素晴らしいのだと思う。
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服への印象が変わった
手の込んだ刺繍、張りのあるチュール、艶のある生地。などなど、美しいお洋服。 袖を通すことでいつでも私に勇気をくれるから。 千早さんの美しい文体で、洋服と人について考えさせられ、服について好きになりたいと思うようになりました。 素敵な世界だった。
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