最後の恋MEN’S

つまり、自分史上最高の恋。

新潮文庫

朝井リョウ / 伊坂幸太郎

2012年6月30日

新潮社

737円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

男は、とっておきの恋ほど誰にも見せない。本当の恋のクライマックスは、自分の心だけが知っている。忘れられない、忘れたくない気持ちはきっと、ひとりで大切にするものと解っているからー男たちがどこか奥のほうにしまいこんだ「本気の恋」。7人の作家が描き出すのは、女には解らない、ゆえに愛すべき男心。恋人たちの距離を少しずつ、でも確かに近づける究極の恋愛アンソロジー。

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Readeeユーザー

(無題)

starstarstarstar 4.0 2018年01月27日

「事実は小説より奇なりと申しまして、世の中には変わっためずらしい経験をお持ちのかたがたくさんいらっしゃいます」と高橋圭三の名調子で始まるテレビ番組が「私の秘密」であった。毎週楽しみにして欠かさず観ていたものだったが、そんな時間を共有した主人公が登場するのが、伊坂幸太郎描くところの「僕の舟」である。マア兎に角、事実は小説より奇なりの全く逆、小説でなければあり得ない変わっためずらしいお話が恋物語として語られる。そこにはルノーのタクシーや銀座小松ストア小判発掘事件などといった当時の世相の一端が散りばめられており、しっかりとディテールまで描きこむことによって、嘘八百の物語に信憑性を与えている。作家の技というのは、たいしたものである。 「水曜日の南階段はきれい」。この作品には、不覚にも泪した。小説を読感動のあまり眼から汗が滴り落ちるわが身を見たのは、何年ぶりの事だろうか。朝井リョウ、平成生まれの直木賞作家、凄い才能である。恥ずかしながら、今回始めてその素晴らしさに触れて、実は反省しているのである。『桐島、部活やめるってよ』でデビューした作家である事は知っていたものの、正直言って書名の軽さについていかれなかったのである。別の言い方をすれば、私とは世代がかけ離れた若者に圧倒的な支持を受けてはいるが、私とは時間も空間も共有できない作家と勝手に思い込んでいたのであった。例えば本作品中、コンビニのオデンの出汁にマヨツナおにぎりを混ぜて食べるシーンがあるが、これなどは私的には全く同感できない。ただし、マヨツナ抜きのプレーンご飯なら多いに納得のできるところだ。また、ノンオイルのツナに胡瓜のマヨネーズ和えは、私の最も得意とする酒の肴である。 次は石田衣良の「イルカの恋」。これも素晴らしかった。貴族趣味が漂う耽美的作品と言って良いと思われるが、まるでガラス細工のような儚い美しさに心が奪われる思いであった。

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