沼地のある森を抜けて
新潮文庫
梨木 香歩
2008年12月31日
新潮社
825円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
はじまりは、「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床が、うめくのだー「ぬかどこ」に由来する奇妙な出来事に導かれ、久美は故郷の島、森の沼地へと進み入る。そこで何が起きたのか。濃厚な緑の気息。厚い苔に覆われ寄生植物が繁茂する生命みなぎる森。久美が感じた命の秘密とは。光のように生まれ来る、すべての命に仕込まれた可能性への夢。連綿と続く命の繋がりを伝える長編小説。
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(無題)
梨木香歩「沼地のある森を抜けて」読了。 梨木さんがファンタジー作家でもあることをすっかり忘れて読み始め、いきなりの展開にすっかり意表を突かれてしまいました。「ぬかどこ」が物語の大きな鍵になっていることは、裏表紙の紹介文などからもわかっていましたが、しかしこんな展開が待っているとは。 この作品は、明らかにファンタジーの手法をとりながら、一方で執拗に「ぬかどこ」の中で行われているさまざまな科学的な現象にこだわっていく。物語は決して、想像の翼のみによって自由に紡がれることはなく、がっしりと現実、事実、科学といったものにとらわれている。これは梨木さんの物語全般を通して感じることだ。 またしても、何を書いているのかわからなくなったorz この作品にも梨木さんのすべての作品に共通するウェットな、言葉は悪いが鬱々としたものを私は感じる。ただ、それを自分が好もしく感じているのか、そうではないのかよくわからない。 そういった点はあるものの、とりあえず今年読んだ作品の中では1番だろうか。
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