流転の海
新潮文庫 みー12-50 新潮文庫
宮本 輝
2005年6月30日
新潮社
880円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
敗戦から2年目、裸一貫になった松坂熊吾は、大阪の闇市で松坂商会の再起をはかるが、折も折、妻の房江に、諦めていた子宝が授かった。「お前が20歳になるまでは絶対に死なん」熊吾は伸仁を溺愛し、その一方で、この理不尽で我侭で好色な男の周辺には、幾多の波瀾が持ち上った。父と子、母と子の関係を軸に、個性的な人間たちの有為転変を力強い筆致で描く、著者畢生の大作第一部。
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もこりゅう
戦後間もない日本の大阪での、松坂熊吾の再起を描いた、歴史ロマン小説であり、日本的なハードボイルド小説ともいえる
絶対読んだ方がいい、といわれたので読んでみた、第3弾。戦後間もない日本の大阪での、松坂熊吾の再起を描いた、歴史ロマン小説であり、日本的なハードボイルド小説ともいえる作品。 50歳にしてはじめて我が子を授かった主人公の熊吾。病弱な息子を20歳まで見守るために、20年生きることを決意、会社を再興する。初恋の相手との駆け落ち、妻・房江との出会いなどを経て、様々な人と出会い、交錯する人間模様。傍若無人でわがままでありながら、どこか憎めず、畏敬の念さえ覚える主人公・熊吾。果たして彼ら家族は、この戦後間もない動乱の日本をどう生き抜いていくのか。っつー、ほんと、人生を綿密に描いた大河物語。 本作は、作者いわく、父と子の物語であるという。これは1作目であり、子供の伸仁(のぶひと)は生まれたばかり。終わりごろでも二歳前後。父と子の物語というよりもおじいちゃんと孫の物語、といったような差がある。実は本シリーズは5部作予定されており、まだまだつづくらしい。本作の中では割とさまざまな「思想」について描かれている。この時代に生まれた伸仁くんが、年頃のときには、きっと学生運動くらいかなぁ、なんて思ったけど、1969年には22歳の計算だからちょっとおそいか。父と子の思想が衝突して、、といった展開を期待していたが、なさそうかも。ちなみに、「海」って「産み」とかけてる?
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