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新潮文庫
誉田哲也
2007年2月28日
新潮社
781円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
親友の死から立ち直るまもなく、可奈子の携帯が着信した。電源を切っても聞こえる押し殺した笑い声ー「おまえが殺した」。毎日はフツーだった。そう、「2mb.net」を知るまでは。誰かを勧誘すればネットも携帯も無料というプロバイダに登録した高校生たちを、奇怪な事件が次々襲う。自殺、失踪、連続殺人…。仮想現実に巣くう「極限の悪意」相手の、壮絶なサバイバルが始まった。
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(無題)
これってホラーだったんだね。ホラーのおぞましさが嫌で、今まで敬遠してきたのだが、これだったら読めるぞ、いや、結構引きづり込まれて読んだ、と言った方が良い。 ジャニーズ系の女ったらし・翔矢と天真爛漫な美少女・雪乃が織り成す青春小説として読み始めた。夢見る少女みたいにベタで楽しい気分になれる恋愛小説は好きなんだ。ところがチョット雰囲気が違うぞ、と感じ始めたのは、次のようなストーリー展開に至ってからだ。誰かを紹介したらネットがタダ、携帯もタダになるというので、雪乃は翔矢を誘って、このプロバイダと本契約をした。この辺では、SFっぽい感じがしたが、さらに彼らの周りで次々と奇怪な事件が発生するようになる。翔矢の身の上に起きた事件のあらましは次の通りだ。ヤクザ映画オタクの同級生が突然変貌して母親を殺害した。その同級生が翔矢の目の前で付き合っている女性を殺し、次はオマエだと宣言してきた。一方の雪乃。彼女はホッベにチュウだけの援助交際の相手から、自分のプロフィールと別の援交相手とのエッチ写真を突きつけられ深い付き合いを迫られたのだった。雪乃の従兄弟・加奈子。雪乃の同級生が自殺し、その自殺をネタに加奈子を中傷する悪意に充ちた電話攻撃が、誰ともわからない相手から続けられ、加奈子は壊れる寸前まで追い詰められる。 さらに後半に至って加奈子は、プロバイダのサーバーの中に入ってしまう。いわゆるバーチャル・リアリティの世界に閉じ込められて、自殺した友達の助けを借りて脱出しようとする。作中に現れる超常的な存在は亡霊でも悪霊でもない。しかしネットの仮想世界には人々の願望が屍のように積み重なっているのだ。残酷な画像を見たい、猥褻な記事を見たい、あるいは自分の中の、決して表に出せない願望を吐き出すことができる匿名の墓場である。その墓場で蠢く者たちは誰の心の中にもある事を自覚すべきである。
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