サヴァイヴ

新潮文庫

近藤史恵

2014年5月28日

新潮社

605円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

団体戦略が勝敗を決する自転車ロードレースにおいて、協調性ゼロの天才ルーキー石尾。ベテラン赤城は彼の才能に嫉妬しながらも、一度は諦めたヨーロッパ進出の夢を彼に託した。その時、石尾が漕ぎ出した前代未聞の戦略とはー(「プロトンの中の孤独」)。エースの孤独、アシストの犠牲、ドーピングと故障への恐怖。『サクリファイス』シリーズに秘められた感涙必至の全六編。

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Readeeユーザー

(無題)

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3.2 2018年01月25日

休日になると派手なウエアにヘルメット、細身のタイヤの自転車乗りを見かけるようになったのは、今から何年前のことだったろうか。健康意識の高まりか、はたまた自らの脚力のみで風を切る快感が魅力なのか、確実に自転車人口は増加しているようだ。かくいう私の自転車体験は専らエアロバイクで、ママチャリすら所有していない。だから、自転車の楽しさや、ましてや競技としての自転車の知識など、これっぽっちも持ち合わせていない。勿論、ツールドフランスぐらいは知っているが、ヨーロッパの人々はどうしてそんなに夢中になるのだろうか、程度の認識だ。 本書にはプロの自転車ロードレーサーが何人も登場する。順番に名前を上げれば白石誓、伊庭和実、石尾豪赤城直輝である。彼らの言葉を借りてロードレースとは何かが語られる。中でも赤城の視点からのお話が中心を占める。赤城はロードレーサーとしては本場ヨーロッパに行けば、アマチュア競技会でもトップクラスとは言い難い成績しか残せない選手である。選手層の薄い日本では何とかプロの地位を得ているが、どちらかといえば花形選手の引き立て役だ。 これをアシストと言い、エースが上位入賞するための影働きを引け受けるのだ。つまり体力の限界まで戦うロードレースにあっては、体力の消耗を誘う仕掛けで有力チームの選手をレースから脱落させる駆け引きが重要になる。だからロードレースは団体競技なのだ。一方で栄光のスポットライトを浴びるのは、やはりトップでゴールに飛び込んだ選手である。この辺はサッカーのポイントゲッターとアシストの関係に似ていなくもない。 アシスト赤城、エース石尾のコンビの中で物語は進行する。アシストのミスに文句を言わないが、献身的なアシストに感謝の意を示すこともない石尾、チームに微妙な空気が漂い始めていた。そんな中、レースで2度続けて石尾の補給品のサコッシュと雨具に細工がされ、失速・リタイアという結果に終わる。前年まで石尾も出られなかった沖縄ツアーに遺恨がある安西が、自分がエースとして出場するために、自分のファンをけしかけてやらせたことだと判明する。安西の事情を知った石尾は、安西にエースの座を譲り、石尾がアシストに回るという極秘作戦が立てられる。

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