ワイルド・ソウル 上

新潮文庫 新潮文庫

垣根 涼介

2009年11月1日

新潮社

880円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

その地に着いた時から、地獄が始まったー。1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。だが入植地は密林で、移民らは病で次々と命を落とした。絶望と貧困の長い放浪生活の末、身を立てた衛藤はかつての入植地に戻る。そこには仲間の幼い息子、ケイが一人残されていた。そして現代の東京。ケイと仲間たちは政府の裏切りへの復讐計画を実行に移す!歴史の闇を暴く傑作小説。

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3.6 2018年01月25日

1950年代に日本政府の募集に応じてカリブ海のドミニカ共和国に渡った日本人の移住者や家族が、2000年7月、国を相手取って総額約25億円の損害賠償を求めて東京地裁に訴訟を起こした。06年6月の判決では、政府の責任は認めたものの時効を理由に請求が棄却された。原告団は控訴したがその後政府は原告団と和解、移住者へ「特別一時金」を支払い、小泉首相の謝罪談話を発表した。 政府は当時、ドミニカ共和国を「カリブ海の楽園」と称し、移住すれば開墾済みの土地を無償で譲ると宣伝した。1956年から59年までに249家族1319人が移住したが、耕作不能の土地だったため多くの人々が生活に行き詰まり、帰国もできない状況に陥ったのであった。 このような悲惨な状況が何故生まれたのだろうか。いや、事はドミニカばかりでなく南米移民全てが似たり寄ったりの状況だったのだ。戦後の外地からの引き揚げやベビーブームによる人口増、反面深刻な食糧難の解消の為に政府が移民を推奨したのだった。しかし、現地の実体は政府の謳い文句とはかけ離れてたものだった。移民ではなく棄民と呼ぶに相応しいものだった。どうしてこんな酷い事が平然と行われたのか、そこには国の政策として企画立案した外務官僚がいたことを忘れてはならない。 本書は、そんな南米移民政策を背景にした超弩級エンターテイメント小説である。カーチェイス、銃器、麻薬、セックスと読者を喜ばす要素がてんこ盛りである。 アマゾンの奥地で虚しく死んでいった一世の子どもたちが、日本政府に復讐を仕掛ける物語である。前半の移民にまつわる衝撃的な“事実”が重く根底部分を支えているためか軽薄さは全く感じられない。ケイこと野口啓一とコカインのコロンビアシンジケートの日本支部長・松尾が実行犯である。そして二年前から山本が日本に潜入、他人に成りすまして外務省の清掃員を務めている。物語はさらに女性テレビディレクターを巻き込んで劇場型へと発展する。読者はこの復讐譚がどのようなものになるのか、想像しながらその時が来るのをハラハラしながら待つのだった。

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