ワイルド・ソウル 下

新潮文庫 新潮文庫

垣根 涼介

2009年11月1日

新潮社

880円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

俺たちの呪われた運命に、ケリをつけてやるー。日本政府に対するケイたちの痛快な復讐劇が始まった!外務省襲撃を目撃した記者、貴子は、報道者としてのモラルと、彼らの計画への共感との板ばさみに苦悩。一方ケイと松尾は、移民政策の当時の責任者を人質にし、政府にある要求をつきつける。痛恨の歴史を、スピード感と熱気溢れる極上のドラマに昇華させた、史上初三冠受賞の名作。

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古今東西の本棚

(無題)

starstarstarstar 4.0 2022年05月15日

面白い本は、一気に読みたくなるものでワイルドソウルも一気に読破してしまいました。クライムサスペ ンス は結末が悲惨なことが多いのですが、ニック・ハーカウェイのエンジェルメイカー (ギャングが世界を救う)のようなエンターテイメント作品でした。彼らの日本政府への復讐はどのようなものだったかぜひ未読の方は体験ください。

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Readeeユーザー

(無題)

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3.7 2018年01月25日

いよいよ復讐劇が始まった。その派手派手しいことといったら。これこそ劇場型犯罪と呼ぶに相応しいものだ。サブマシンガンをぶっ放して外務省の庁舎を破壊して面子を潰す、しかし血は流さない。その様子をテレビカメラが冷静に捉えるのだから、いやが上にも臨場感あふれるものとなる。屋上から垂れ幕が垂れ下がり、過去の移民政策を糾弾する内容が書かれていれば、犯行の意図は明確だ。弱い者がついに武器を持って権力者に意趣返ししたとなれば、判官贔屓の世間から喝采を浴びるに違いない。 まるで映画の1シーンのような外務省庁舎襲撃は、第一ステージに過ぎなかった。彼らの真の目的は総理大臣の謝罪を引き出すことにあった。そのために、アマゾン移民を実行に移した元外務事務次官、移民募集の映像制作会社元社長そして現地の移民実行会社元社長を誘拐して人質とし、政府に謝罪を迫ったのだった。 事件はここに至り、警察VS犯人グループの攻防へと舞台を移すのだった。国家の威信をかけても犯人に屈するわけにはいかない警察も総力を挙げて必死の捜索である。しかし、突破口を開いたのはキャリアではあるが、はぐれ者の警察官であった。彼の推理がズバリ的中、人質の救出に成功した。 この物語は復讐譚であるが、そこに漂う空気はジメジメと薄暗い怨念では無い。ブラジルの大地と一年中夏のような空の雰囲気である。ブラジルの気候と大地の恵みがケイの人格を育んだ。ケイの人柄を一言で言えば女好きで不作法、物事にこだわらない楽天家である。ケイとテレビプロデューサー・貴子との恋愛が実に楽しい。これがドラマにスリルとサスペンス、さらにユーモラスを加味してより愉しいものに仕上げている。

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