再生巨流

　マーケティング至上主義の価値観がどうにも私の価値観と合いませんでした。だからなのか、私はこの話に感情移入することが出来ませんでした。汗して働く人を睥睨するような視点にとても強い違和感と拒否感を感じました。 　ストーリーは大会社で左遷をされた窓ぎわサラリーマンが巧みなマーケティング手法で一発大逆転といった稚拙な話。吉村の性格は同じ企業人として好感がもてなかった。威圧的な態度、パワハラ口調、職場での喫煙など、私の周りではありえない人種である。また、部下に対しての接し方もとても気分が悪い。恐らくバブル絶頂期を背景にした著者の価値観なのかもしれない。そもそも吉村が左遷された理由や左遷に至った経緯から考えると、この企業からはもっと過酷な環境に追いやられているはず。そして、形勢の大逆転の秘策がとても稚拙で読んでいて嫌気がさしてきた。蓬莱のプロ野球を断念した件も本当に雑に描かれている。そんなに簡単に生涯をかけたものを捨てられるのだろうか。社会人野球についての取材不足な感が否めない。 　この本は、大学生がこれから社会にでるにあたり、企業人についての予備知識をサラッと感じる取るには最適な著書である。しかし、マーケティングやECの専門家から見たら、広く浅くそれなりっぽいことを「知ったかぶり」されているの聞かされる苦行のような著書である。また、いろんな話題を盛り込みすぎで、話の展開がとても雑である。

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