上野池之端 鱗や繁盛記

新潮文庫

西條 奈加

2016年9月28日

新潮社

737円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

騙されて江戸に来た13歳の少女・お末の奉公先「鱗や」は、料理茶屋とは名ばかりの三流店だった。無気力な周囲をよそに、客を喜ばせたい一心で働くお末。名店と呼ばれた昔を取り戻すため、志を同じくする若旦那と奮闘が始まる。粋なもてなしが通人の噂になる頃、店の秘事が明るみに。混乱の中、八年に一度だけ咲く桜が、すべての想いを受け止め花開くー。美味絶佳の人情時代小説。

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ケムケム

主人公お末と「鱗や」の奉公人たちによる爽やかな人情時代小説。

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3.5 2021年05月05日

 料理茶屋とは名ばかりのいかがわしい店「鱗や」に奉公に上がった主人公お末。何事にも真面目で真摯に働き、人に接するため、損することもある。  「鱗や」の入婿八十八朗は、傾いた店を昔の姿にすべくお末の力を借りながら立て直していく。章ごとに謎解きもあり飽きさせない。鰻茶碗や白雪雑煮などの名物料理も描かれている。  しかし、その八十八朗は大きな恨みを抱えていて物語の終盤に向けて驚きの真実が明かされる。  「御師 弥五郎」もそうだったが、家族と仲間の話である。清々しい読了感。

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