無伴奏
新潮文庫
小池真理子
2005年3月31日
新潮社
572円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
その果てに待つものを知らず、私はあなたを求めたー。多感な響子は偶然に出会った渉に強く惹かれるが、相手の不可解な態度に翻弄される。渉に影のように寄り添う友人の祐之介と、その恋人エマ。彼らの共有する秘密の匂いが響子を苛み、不安を孕んで漂う四角形のような関係は、遂に悲劇へと疾走しはじめる。濃密な性の気配、甘美なまでの死の予感。『恋』『欲望』へと連なる傑作ロマン。
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(無題)
この時代は良い。少年少女が必死で何かに抵抗して、かといって明るい未来ではなく、暗いものを見ながら生きていた時代。 これは失恋よりも辛い。最初から恋愛対象では無かったわけだし、言ってみれば使われたわけだから、渉を信じていた分だけ辛い。 でも渉の方も辛かったんだろうな。今でこそLGBTって言葉が出来て許容されるようになってきたけど、この時代許されない事だったろうし、彼氏は束縛激しいし。バイっていうのがまた何とも。女の子を愛せない訳ではないから、だから必死で祐から逃げようとしたんだろう。 祐にとってエマは何だったんだろう。渉は響子の事、祐の次に好きだったんだろうけど、祐は渉の代わりになるマネキンみたいに見てたんじゃないのかな。だから、渉が自分を意識する為だったら平気でエマを利用するし、邪魔だったら殺しちゃう。 それでも渉は祐を庇うのね。祐にわざと響子の前でレイプされても、エマを殺されても。なんて退廃的!救済がない! 遺書にあった通り渉は静かに寝たかったんだろうな。物理的にも精神的にも。
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