
孤独な散歩者の夢想
新潮文庫 ルー1-1 新潮文庫
ルソー
2006年7月31日
新潮社
605円(税込)
人文・思想・社会 / 文庫
十八世紀以降の文学と哲学はルソーの影響を無視しては考えられない。しかし彼の晩年はまったく孤独であった。人生の長い路のはずれに来て、この孤独な散歩者は立ちどまる。彼はうしろを振返り、また目前にせまる暗闇のほうに眼をやる。そして左右にひらけている美しい夕暮れの景色に眺めいる。-自由な想念の世界で、自らの生涯を省みながら、断片的につづった十の哲学的な夢想。
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本全体を通して、晩年のルソーの孤独や苦しみについての考察やそこに至るまでの事情が語られている。暗い内容なのに、ぐいぐいと惹きつけられ読んでしまう不思議な作品。
ルソーと言えば、一般人には「エミール」が有名である。「孤独な散歩者の夢想」というロマンチックなタイトルと本の薄さに、読めそうな気がして購入。しかし、読み始めてビックリ!全編、自らの孤独や苦しみについての考察とそこに至るまでの事情が語られているのである。 ルソーは、「エミール」を発表したことによってキリスト教会が幅を利かせる世間から迫害され、スイスに逃げる。しかし、そこでも著作がもとで、カルヴァン派から激しく非難され、西ヨーロッパを転々としなければならなくなったそうだ。 あくまでルソーの言い分を書いたものなので、真実は別のところにあるのかもしれないが、仮にこれらの内容が事実であるとすると、バッシングやディスり、ハラスメント、いじめ等々、大変な目に遭っている。キリスト教の影響下、言論の自由がなかった時代、大変な苦労をしながら生きていたのだと思う。 文章は、訳者の青柳瑞穂氏のおかげもあるのだろう、哲学的だが論理的で読みやすい。ルソーの心の襞が手に取るようにわかるのである。また、本の最後には青柳氏のルソー論が27ページにわたって掲載されているが、これがまた素晴らしい。 「大建築物は、小ぎれいな数寄屋普請と違って、そばで見ると部分的には汚らしい。しかし、一世紀、二世紀、後退して、遠くから全体的に眺望するとき、初めてその壮麗な姿を見せる。預言者、使徒、宗教の創始者、世界の改革者を理解しない者は、モーゼを、聖ポーロを、ルーテルを、ロベスピエールを理解しない者は、ジャン•ジャックを理解しないだろう。」p.215 私はルソーの記述の上っ面しか理解できていないと思う。しかし私にとって、この本との出会いは僥倖と言ってもいいくらいの出来事であった。良ければ、皆さんも読んでみてください。
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