果断

隠蔽捜査2

今野敏

2007年4月30日

新潮社

1,650円(税込)

小説・エッセイ

混乱する現場で対立する捜査一課特殊班とSAT。現場で指揮する竜崎の決断は。警察庁から大森警察署署長に左遷されたキャリアの竜崎伸也。襲いくる様々な圧力に竜崎は打ち勝つことができるのか。

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もこりゅう

論理的で効率的、合理的で表裏のない、最強のキャリア官僚。今までに類を見ないかっこよさの警察官を描く、読みやすい警察小説。

starstarstarstarstar 5.0 2023年10月24日

 論理的で効率的、合理的で表裏のない、最強のキャリア官僚。今までに類を見ないかっこよさの警察官を描く、読みやすい警察小説。2008年版このミステリーがすごい!第4位であったが、この小説のおもしろさはミステリ部分よりも主人公のキャラクターにある。  降格人事で警察庁長官官房総務課長から大森署の署長となった竜崎。その主な仕事は決裁書類への押印である。不満はないが、その効率の悪さに頭を悩ませるような人である。そんなおり、管内付近で強盗事件が発生、緊急配備を行うも3人の犯人のうち2人を管内から逃がしてしまう。結果的にはその二人は別の場所で捕まったため、特に気にすることもないと判断した署長だが、警察のメンツ争いに巻き込まれる。そして発生する、犯人の1人の立てこもり事件。竜崎は現場に急行しつつも、立てこもり事件を得意とする、捜査一課特殊班(通称SIT)に指揮を任せる。ところが予想外の長期化の様相になってきた事件を収束するべく特殊急襲部隊(通称SAT)が指揮権を要求。SITは犯人の逮捕、SATは事件の鎮圧と目的、性格がそのものがちがうため、どちらに指揮権を持たせるかによって大きく事件の結末が変わることとなる。現場に詰めた竜崎の判断は、そして事件の行方は。  とにかく、タイトルどおり、果断を次々とする主人公のかっこよさ。感情を廃し、その場その場の状況で、最もよい判断を選択する。もちろんその判断は今ある材料から合理的に最良を選択するのだ。こういう人が、官僚にたくさんいれば世の中も変わるのだろうか。判断する、選択する、というのは勇気のいる行為。なぜならそれに伴う責任を、判断し選択した人がとる必要があるからだ。それでも論理的に判断し、選択した経緯を説明できさえすれば問題ないはずなのに、人は顔をうかがい、気持ちを汲み、判断を遅らせたり、選択を自分でしないようにしてしまう。世の中に今必要なのは、この「果断さ」なのかもしれない。適材適所、判断や選択をできない人に地位やポストを与えてはいけないし、その人に合った仕事を与えるのが重要だということもわかる。人数あわせに人を集めたって、プロジェクトがうまくいくわけがない、、というのは仕事のグチか、おいらの言い訳なので聞き流してください。。  この作品は「隠匿捜査」シリーズの第2作らしい。第1作も読んでみたいものである。

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