
ボトルネック
米澤穂信
2006年8月31日
新潮社
1,540円(税込)
小説・エッセイ
恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。-はずだった。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。
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もこりゅう
自分探しのSF青春小説
恋人を失った少年が、自分が生まれなかった世界に迷い込む。そこではじまる間違い探し。自分の生まれた世界との違い、また、その違いの根本的な原因である「ボトルネック」は何なのか。最後まで読んだとき、悲しさがあふれる、自分探しのSF青春小説。 主人公が生まれなかった世界と、主人公の生まれた世界との間違い探し、というアイデアがとてもおもしろい。主人公「リョウ」には、生まれる前に死んでしまった姉「露」がいた(水子)。その「露」という姉が、もう一方の世界では「サキ」として無事に生まれている。その世界には、「リョウ」は存在しない。SF的にいえばいわゆるひとつのパラレルワールドというヤツである。そこで主人公はサキと共に、二つの世界の間違い探しをしながら、冷徹なまでに客観的に自分の生き方を見つめてしまう。そして、自分の生まれた世界で排除しなければならない「ボトルネック」が何か、という疑問の答えを出すのだが。。主人公が出す答えは、とても悲しく、痛ましい。 この主人公、とてもネクラであり、自分に対しての出来事を遠くからみている、という性格。とてつもなく、考え方に共感でき、感情移入しやすいキャラクターであったことも、高評価につながった要因のひとつであるが、さらに大きな要因として、サキというキャラクターの存在がある。天真爛漫でありながら頭の回転が速く、そして、他人を思いやる。あだち充のヒロインキャラ全開のサキに乾杯。 ただ、腑に落ちない点もある。とくに最後の章のサキの言葉。なぜイチョウの木?それの何を思い出すと、彼の決断をよい方向へ導くエピソードってあったっけ??ここに大きなミステリが隠されているような気もする。ボトルネックを排除するってのは、思い出も排除してしまうことに他ならないってことか??わからん。。 ラストの一行。この一行は、(たぶん)叙述トリックなどが隠されているわけではないけれど、かなり衝撃的で、悲しくて、さびしくて。もうこれは笑うしかないよ。鳥肌立ちつつ、笑ったよ、おいらは。結局、彼にとっての「ボトルネック」は周りの環境だったのかもしれない。あと、中盤読みつつ、「元の世界に戻ると、そこにはサキがいて、恋人がいて、自分もいる」という、超幸せエンディングも夢見ていたのだが、見事に裏切られて、なんとなく「エヴァンゲリオン」を思い出したりもしたよ(時事ネタ)。
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