大きな熊が来る前に、おやすみ。
島本理生
2007年3月31日
新潮社
1,430円(税込)
小説・エッセイ
徹平と暮らし始めて、もうすぐ半年になる。だけど今が手放しで幸せ、という気分ではあまりなくて、むしろ転覆するかも知れない船に乗って、岸から離れようとしている、そんな気持ちがまとわりついていたー。新しい恋を始めた3人の女性を主人公に、人を好きになること、誰かと暮らすことの、危うさと幸福感を、みずみずしく描き上げる感動の小説集。切なくて、とても真剣な恋愛小説。
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(無題)
サラリーマン、いや今はその語感に潜む消極性を嫌って、ビジネスマン、いやいや女性にも気を使ってビジネスパーソンである。かつて昭和の時代には、彼らは企業戦士と呼ばれた事もあった。今では働く人の意識は、滅私奉公から自分あるいは家庭ファーストに変わってきている。イクメンやら夫が家事をするのが当たり前になっている現在に比べ、昭和の企業戦士の価値観は驚くほどに現在とは、かけ離れたものだった。そんな男達ももはやリタイア世代。家庭経営を全面的に委ねられてきた主婦の牙城に入り込んできた夫を妻はどう見ているのだろうか。数十年生活を共にして子供を設けた仲であっても、毎日朝から晩まで顔を付き合わせて始めて発見する部分もあったりする。老夫婦であってもそんな風だから、同棲を始めたばかりの若いカップルにとっては、違和感の連続であろう。 本書は3人の女性を主人公に、人を好きになること、誰かと暮らすことの危うさと幸福感を描いた短編連作である。
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