
正欲
朝井 リョウ
2021年3月26日
新潮社
2,090円(税込)
小説・エッセイ
生き延びるために、手を組みませんか。読む前の自分には戻れない。作家生活10周年記念、気迫の書下ろし長篇小説。
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みんなのレビュー (31)
多様性の捉えなおし
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(無題)
朝井リョウさんの最新刊は、作家生活10周年記念作品[黒版]として書き下ろされた『正欲』です。昨年10月発売の作家生活10周年記念作品『スター』[白版]に対する[黒版]は、「読み心地に合わせて」の呼び名だそうで、朝井リョウさんの人や世の中のグレーゾーンをえぐり出すような書き心地が大好物の私としては、待ってましたと手に取りました。 全ての人間の中にある自身を疼かせる欲望を、また、人々がそれぞれに抱える「思考の根、哲学の根、人間関係の根、世界の見つめ方の根」を問いただされるような作品でした。 性欲ではなく正欲……。いわゆる万人から肯定される「性欲」とは違った、○○フェチ的な「性欲」を持っているために、「はじめから何も与えられず、何を手に入れられるかや何を失うかで思い悩まなくてもいい状態に、すっかり慣れてしまった」マイノリティの彼らの物語です。「自分はまとも側にいると信じている」マジョリティ側から排除され続ける彼らが、自分自身や現状を受け入れて、「生きていくこと自体には絶望せずに」とやっと踏み出そうとした矢先に降りかかる残酷な現実には読者としても心の行き場を失いました……。 繋がりの中でしか生きていけない人間に、希望を見、救いを与えながらも、間違いなく存在し続ける簡単ではない現実を突きつけてくるのはまさに朝井リョウさんならでは! でした。結果的に物語のキーマン(ある意味一番の「善人面をした悪魔」)とも言える【古波瀬】が語り手として全く登場しないのにも、さらにおどろおどろしさを感じました。 また、冒頭部分に置かれたネットニュース記事を読んだ時の印象が、本作の読後には全く別ものとなり、そこに仕掛けられていた多数派の容赦ない断罪の視線を受け止めている自分に思い至ったとき、私が初めに抱いていた印象こそが多数派の感覚だったのだなと、朝井さんに足下から揺り動かされたような感覚となりました。
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(無題)
朝井リョウさんの最新刊は、作家生活10周年記念作品[黒版]として書き下ろされた『正欲』です。昨年10月発売の作家生活10周年記念作品『スター』[白版]に対する[黒版]は、「読み心地に合わせて」の呼び名だそうで、朝井リョウさんの人や世の中のグレーゾーンをえぐり出すような書き心地が大好物の私としては、待ってましたと手に取りました。 全ての人間の中にある自身を疼かせる欲望を、また、人々がそれぞれに抱える「思考の根、哲学の根、人間関係の根、世界の見つめ方の根」を問いただされるような作品でした。 性欲ではなく正欲……。いわゆる万人から肯定される「性欲」とは違った、○○フェチ的な「性欲」を持っているために、「はじめから何も与えられず、何を手に入れられるかや何を失うかで思い悩まなくてもいい状態に、すっかり慣れてしまった」マイノリティの彼らの物語です。「自分はまとも側にいると信じている」マジョリティ側から排除され続ける彼らが、自分自身や現状を受け入れて、「生きていくこと自体には絶望せずに」とやっと踏み出そうとした矢先に降りかかる残酷な現実には読者としても心の行き場を失いました……。 繋がりの中でしか生きていけない人間に、希望を見、救いを与えながらも、間違いなく存在し続ける簡単ではない現実を突きつけてくるのはまさに朝井リョウさんならでは! でした。結果的に物語のキーマン(ある意味一番の「善人面をした悪魔」)とも言える【古波瀬】が語り手として全く登場しないのにも、さらにおどろおどろしさを感じました。 また、冒頭部分に置かれたネットニュース記事を読んだ時の印象が、本作の読後には全く別ものとなり、そこに仕掛けられていた多数派の容赦ない断罪の視線を受け止めている自分に思い至ったとき、私が初めに抱いていた印象こそが多数派の感覚だったのだなと、朝井さんに足下から揺り動かされたような感覚となりました。
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(無題)
例えば今「容姿を馬鹿にする漫才」は批判されている。 「いい年こいてプリキュア見に行く顔」はタブーらしい。 漫才で「水道の蛇口の形に興奮する」ネタがあれば、みんな安心して笑えるのだろうか。 「自分は普通ではない」と悩みながらも、「水道の蛇口の形に興奮する」人は確かに居るかもしれないのに。 その人のことは慮ることなく、笑って良いのだろうか。 朝井リョウの小説は思想が強い。筆者の代弁じみているところがある。 哲学じみているのだ。今回の話は、特にその毛色が強く出ている。 「LGBTは選択肢が少ない」というが、その「選択肢の無さ」が羨ましいこともある。 「自分は(LGBT観点でいえば)正常なのに、正常な選択肢を選び取れない」のは、 「少数派であること」以上に苦しいのではないか。 「上手く生きられない」の上の句に 「少数派だから」がくるほうが苦しいのか、 「みんなと同じはずなのに」がくるほうが苦しいのか。 「私はみんなとは違うから」と言い訳が出来れば、どんなに楽だろうか。
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マイノリティへの深い理解
ネットで知り合った本好きの方の紹介で読んでみた。 今の時代のテーマとも言える「多様性」について、マイノリティへの理解は進んでいるように見えるが、それはLGBTQのような比較的認知されやすいものに限られており、そもそもの性的対象が人ですらない真のマイノリティへの理解は依然として進んでいないという問題が提起されている。 自分自身、性的嗜好は生まれもったもので、LGBTQの人達に同情的だと自認していたが、あくまでも性的対象が「人」である事が前提であり、それ以外のマイノリティは存在すら認知していなかった。 また、先述した「LGBTQへ同情的」というのも、理解があるようでいて、結局自分がマジョリティである事への安心、安心できる場所からの偽善的な感情でもあるように感じた。 ただ、こうした問題提起をきっかけに、真のマイノリティの存在を認知し、いざそういう時に心の準備ができる人もいるようにも思う。 一昔前は「気合いが足りない」と言われていた鬱病や、「ミスが多い」と断罪されていたADHDが、現在ではある程度認知や理解が進んでいるように、真のマイノリティについてもこれから理解が進んでいくのではないだろうか。 そういう意味では希望も感じた。
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コンフィデンス
私は多様性を否定する気はありませんが、押し付けるつもりはありません。時代と共に何事も変化することが常で、その流れに乗ることは当たり前の事だと思っています。どうも人任せなように感じますが、そうではなく主体的に時代の波に乗って行きたいです。登場人物の検事、学生、独身男性・女性、各人物の密度がいい感じだなって思いました。マイノリティ(少数)とかマジョリティ(多数)とかでなくて、コンフィデンス(自信)を大切にしたいです。 多様性を称賛し、秩序を整えることで満足感を得るが、それは都合の良い幻想に過ぎない。検事の息子が不登校になり、女子大生が初めての恋に気付き、契約社員が秘密を抱える。彼らの人生は一つの事故死をきっかけに絡み合い始めるが、この結びつきは「多様性を尊重する時代」にとって都合の悪いものであった。読者はこの情熱的な長編小説を読むことで、一度読んだ後に元の自分に戻ることはできない。
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途中
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(無題)
例えば今「容姿を馬鹿にする漫才」は批判されている。 「いい年こいてプリキュア見に行く顔」はタブーらしい。 漫才で「水道の蛇口の形に興奮する」ネタがあれば、みんな安心して笑えるのだろうか。 「自分は普通ではない」と悩みながらも、「水道の蛇口の形に興奮する」人は確かに居るかもしれないのに。 その人のことは慮ることなく、笑って良いのだろうか。 朝井リョウの小説は思想が強い。筆者の代弁じみているところがある。 哲学じみているのだ。今回の話は、特にその毛色が強く出ている。 「LGBTは選択肢が少ない」というが、その「選択肢の無さ」が羨ましいこともある。 「自分は(LGBT観点でいえば)正常なのに、正常な選択肢を選び取れない」のは、 「少数派であること」以上に苦しいのではないか。 「上手く生きられない」の上の句に 「少数派だから」がくるほうが苦しいのか、 「みんなと同じはずなのに」がくるほうが苦しいのか。 「私はみんなとは違うから」と言い訳が出来れば、どんなに楽だろうか。
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多様性
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Daisuke
認識が抉られる感覚
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