
嘘 Love Lies
村山 由佳
2017年12月26日
新潮社
1,980円(税込)
小説・エッセイ
どんな地獄だろうと構わない。でも、この秘密だけは、絶対に守り通す。刀根秀俊、美月、亮介、陽菜乃は仲のいい友達グループだった。中学2年の夏にあの事件が起こるまではーー恐怖、怒り、後悔、そして絶望。生涯拭えぬ過ちとトラウマを抱えたまま、各々の人生を歩んでいた4人。求め合う体と秘めたる想いが、さらなる苦悩を呼び、暴力の行き着く果てに究極の愛が生まれる。著者渾身の恋愛長編!
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(無題)
担当の編集者によれば、本書は著者渾身の長編ノワールなのだそうだ。ノワールとは暗黒小説を意味するフランス語である。ハードボイルドプラス激しい暴力が支配する世界といってよい。そこには、甘っちょろい感情は微塵も介在しないし、救いようのない突き放された風景がただ淡々と描き出されるのみだ。 そんなイメージを持って本書を読み始めると、面喰らう事になる。確かに、本書には暴力を唯一の正義とする極道が登場するし、性模写も過激である。しかし、作者が描き出している世界は、言葉を超えたところにあるように見える。本書には救いようのない冷え切った世界が描かれている。しかし、その先に光に満ちた暖かい世界が待ち受けている予感がする。だからノワールは、それが眼前に現れた時に味わう深い満足感の為の舞台装置にしか見えない。 読み進めるに従って書名の「嘘」そして副題「Love Lise」の意味するところが、少しずつ見え始めてくる。そうした時、読者の脳裏に広がり始めていたいた愛への期待は、やがて確信へと変化し始める。 主人公の秀俊は、母親のネグレクトと母の愛人の暴力の中で成長する。暴力の中で最も卑劣なのが性的暴力であろう。物語は、秀俊の中学の同級生・陽菜乃のレイプ事件に端を発する。そして暴力団を使った犯人探索、復讐と殺人。暴力団組織内の極端なパワハラ。あらゆる暴力の形が本書には描きこまれている。しかし、その暴力の底に見え隠れするのは、愛である。それも純愛である。 人の思いや欲望といった感情がベースになって、人間の織り成す世間に様々な人間模様を繰り広げる。私にはそれが、なんとも壮大な無駄のような気がしてならないが、それが人が生きるという事なのだろう。命尽きるまで意味のない日々の繰り返しが続くのだから、せめて命が喜ぶ事をし続けたいものだ。
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