
荒地の家族
佐藤 厚志
2023年1月19日
新潮社
1,870円(税込)
小説・エッセイ
あの災厄から十年余り、男はその地を彷徨いつづけた。第168回芥川賞候補作。元の生活に戻りたいと人が言う時の「元」とはいつの時点かーー。40歳の植木職人・坂井祐治は、あの災厄の二年後に妻を病気で喪い、仕事道具もさらわれ苦しい日々を過ごす。地元の友人も、くすぶった境遇には変わりない。誰もが何かを失い、元の生活には決して戻らない。仙台在住の書店員作家が描く、止むことのない渇きと痛み。
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淡々と虚しい
何か大きなドラマが起こるのかな?と思いながら読み進めて、よくよく考えると色んなドラマが起こっているんだけど、最後までひたすら淡々と描かれているので、大きな感情の起伏は起こらない。 ただただ虚しいような気もするけど、時々主人公の「何くそ」根性が垣間見える気もする。 ラストはちょっと怖かったけど、息子くんが笑い飛ばしてるのが良かった。 震災後の海周辺の描写、季節の移り変わりなどの自然の描写がわかりやすく想像できた。 先が気になる流れでもないのに、なぜか一気に読み進められて、読みの遅い私にしてはあっという間に読み終わった。
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