切羽へ
井上荒野
2008年5月31日
新潮社
1,650円(税込)
小説・エッセイ
静かな島で、夫と穏やかで幸福な日々を送るセイの前に、ある日、一人の男が現れる。夫を深く愛していながら、どうしようもなく惹かれてゆくセイ。やがて二人は、これ以上は進めない場所へと向かってゆく。「切羽」とはそれ以上先へは進めない場所。宿命の出会いに揺れる女と男を、緻密な筆に描ききった哀感あふれる恋愛小説。
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(無題)
東京から生まれ故郷の離島(おそらく長崎の離島)に戻り、夫と穏やかに暮らす小学校の養護教諭、麻生セイ。 島に臨時講師としてやってきた男(石和聡イサワサトシ)。 無愛想でとっつきにくい石和と、セイが惹かれあって云々、という話になるかと思ったが、実際には特に何も起こらず。 目次は三月から始まり、次の年の四月で終わるが、あまり年月の動きが感じられない。ストーリーも冗長で、起伏はない。 文章が読みやすい。ストーリーを単調にすることで、何かの「気配」を示唆しているような小説。全体的に不穏な雰囲気は出しているから、おそらくこの雰囲気を楽しんで、結末やストーリーの起伏などは期待してはいけないのだろう。 読みにくいわけではないが、特に印象に残るような部分もなかった。 ゆっくり読んだら色々と印象は異なったかもしれない。 まさに女性が書いた小説、という印象。 ネタバレ 何も進展することなく、石和羽島を去っていった。セイは夫の子供を身籠り、石和の家に残されたクルス(十字架)を庭に埋める。 これは、石和のことを忘れないという意味か、秘め事(心の中での)を封じるという意思の表れか。 書評 性描写を一切排除しながら、官能的な雰囲気を醸し出すことに成功している高評価 九州方言のやりとりが秀逸高評価 ストーリーが薄すぎる低評価 後半の心理描写の浅さ、結末の淡白さ低評価 林真理子 「これは文学のひとつの挑戦だと思った。」「性交のシーンは、恋愛小説において心臓部分である。我々作家は、そこをいかにエロティックに、新鮮に描くか苦心する。」「ところがどうだろう、「切羽へ」は、この心臓部分をまるっきり失くしたのだ。そのかわり、指から踵の端まで、神経と血液を張りめぐらした。選び抜かれた比喩、文章のリズム、巧みな心理描写。どれをとっても素晴らしい。当然の受賞であろう。」 井上ひさし よく企まれた恋愛小説ではあるが、評者には退屈だった。あんまり話がなさすぎる。」「けれども、ここで実現された九州方言による対話は、これまでに類を見ないほど、すばらしいものだった。これほど美しく、たのしく、雄弁な九州方言に、これまでお目にかかったことがあっただろうか。」「最終投票で、評者は、この九州方言による対話に票を投じた。」 浅田次郎 伝統的な文学のスタイルを踏襲している」「自然主義の様式に呪縛されたフィクションなので、ダイナミックなストーリー展開がかなわず、かといって内面に踏みこむにも限界がある。しかしそうした基本構造上の矛盾を、文章の力によって静謐な絵に描きおえたのはさすがである。いささか苦言は呈したものの受賞には異論がない。」
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