
朗読者
Crest books
ベルンハルト・シュリンク / 松永美穂
2000年4月30日
新潮社
1,980円(税込)
小説・エッセイ
学校の帰りに気分が悪くなった15歳のミヒャエルは、母親のような年の女性ハンナに介抱してもらい、それがきっかけで恋に落ちる。そして彼女の求めに応じて本を朗読して聞かせるようになる。ところがある日、一言の説明もなしに彼女は突然、失踪してしまう。彼女が隠していたいまわしい秘密とは何だったのか…。数々の賛辞に迎えられて、ドイツでの刊行後5年間で、20以上の言語に翻訳され、アメリカでは200万部を超える大ベストセラーになった傑作。
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翌朝、ハンナは死んだ。
「長いあいだ、修道院にいるような生活をしていましたね。まるで自発的にここに来たかのように。ここの規則にも自分から進んで従っているようでしたし、いささか単調な仕事も彼女にとっては瞑想の一部のようでした。他の囚人たちに対しては親切でしたが距離をおいていて、みんなからの人望は特に厚いものがありました。いいえ、それ以上に、彼女には一種の権威があって、問題が起これば助言を求められましたし、喧嘩の仲裁に入っても、彼女が決めることならみんなが受け入れました。数年前に、彼女が投げ出してしまうまではね。それまでの彼女はいつもきちんとしていて、骨太ではありましたがスマートで、徹底した清潔好きでした。ところが彼女はその後たくさん食べ始め、めったに身体を洗わなくなり、肥満して匂うようになりました。でも、不幸だったとか不満だったわけではないようでした。たぶん、修道院にいるだけでは足りなくて、修道院の中でさえ仲間ができたりおしゃべりになったりするので、もっと孤独な庵へ、もう誰からも見られず、外見や服装や体臭などが意味を持たない世界へ引きこもらなくてはならない、ということだったのでしょう。いいえ、投げ出すという言い方は間違いでした。彼女は自分の居場所を新しく定義したのです。それが他の女性たちにはもう感銘を与えなかった、ということです」
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