オスカー・ワオの短く凄まじい人生
Crest books
ジュノ・ディアズ / 都甲幸治
2011年2月28日
新潮社
2,640円(税込)
小説・エッセイ
オスカーはファンタジー小説やロールプレイング・ゲームに夢中のオタク青年。心優しいロマンチストだが、女の子にはまったくモテない。不甲斐ない息子の行く末を心配した母親は彼を祖国ドミニカへ送り込み、彼は自分の一族が「フク」と呼ばれるカリブの呪いに囚われていることを知る。独裁者トルヒーヨの政権下で虐殺された祖父、禁じられた恋によって国を追われた母、母との確執から家をとびだした姉。それぞれにフクをめぐる物語があったー。英語とスペイン語、マジックリアリズムとオタク文化が激突する、全く新しいアメリカ文学の声。ピュリツァー賞、全米批評家協会賞をダブル受賞、英米で100万部のベストセラーとなった傑作長篇。
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toruo
(無題)
これはまた凄まじい作品。 ピュリッツァー賞受賞作ということで読んでみたのだけども文句無しでしょう。 ドミニカ出身で今はニュージャージーに暮らすオタク青年オスカーとその一族の物語。 バルガス=リョサの「チボの狂宴」でも描かれていたドミニカの独裁者トルヒーヨの残虐性とそれによる悲劇の連鎖が描かれている。 ミソは主人公をドミニカ人のオタクにしたところで、主人公に部屋には宇宙戦艦ヤマトのポスターが貼られ、AKIRAを何千回も見るといった設定になっている。 太っていてSFやゲームばかりやっていて全く女性にもてず、これが東洋人ならまだしも、ラテン系、というところに更なる悲劇的な設定がなされている...非常に重たい作品だけど良く書けた小説で受賞も当然の秀作でした。
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