タイガーズ・ワイフ

新潮クレスト・ブックス

テア・オブレヒト / 藤井 光

2012年8月24日

新潮社

2,420円(税込)

小説・エッセイ

紛争の繰り返される土地で苦闘する若き女医のもとに、祖父が亡くなったという知らせが届く。やはり医師だった祖父は、病を隠して家を離れ、辺境の小さな町で人生を終えたのだという。祖父は何を求めて旅をしていたのか?答えを探す彼女の前に現れた二つの物語ー自分は死なないと嘯き、祖父に賭けを挑んだ“不死身の男”の話、そして爆撃された動物園から抜け出したトラと心を通わせ、“トラの嫁”と呼ばれたろうあの少女の話。事実とも幻想ともつかない二つの物語は、語られることのなかった祖父の人生を浮き彫りにしていくー。史上最年少でオレンジ賞を受賞した若きセルビア系女性作家による、驚異のデビュー長篇。全米図書賞最終候補作。

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toruo

(無題)

-- 2022年05月12日

新潮社のクレスト・ブックから。柴田元幸翻訳作品と同じく、このシリーズにも外れが無い感じなので手にとってみましたやはり面白い作品でした。 作者はまだ若いセルビア系の女性、ベオグラードで生まれて戦争をさけるため子供の頃にキプロス~エジプトを経てアメリカに移住、16歳でUSCに入学、20日でコーネルの大学院に入ったという俊英らしいです。 本作は、戦争が絶え間ない国においてボランティアにいそしむ女医の元に祖父が亡くなったとの報せが届く、その祖父の思い出が「不死身の男の話」と「トラの女房と呼ばれた女の話」の2つのエピソードを中心に描かれていきます。 幻想的でありながらリアルな描写でもあり、南米の作家の作品のような印象を受けました。

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