いい子に育てると犯罪者になります

新潮新書

岡本茂樹

2016年3月17日

新潮社

858円(税込)

人文・思想・社会 / 新書

意外なことに、刑務所への出入りを繰り返す累犯受刑者には「いい子」だった者が多い。自分の感情を素直に出さず、幼少期から無理を重ね、親の期待する役割を演じることに耐えられなくなった時、積もり積もった否定的感情が「犯罪」という形で爆発するのだ。健全な子育ては、「いい子」を強いるのではなく「ありのままの姿」を認めることから始まるー。矯正教育の知見で「子育ての常識」をひっくり返す。

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(無題)

starstarstarstarstar 5.0 2017年06月26日

『いい子に育てると犯罪者になります』(岡本茂樹著、新潮社)とは、なんとも刺激的なタイトル。 著者は、元立命館大学産業社会学部教授であり、臨床教育学博士。大学での研究・教育活動と並行して、刑務所での受刑者の更生支援にも携わってきたという人物です(2015年6月にお亡くなりになったそうで、本書は遺稿を書籍化したもの)。 発行の目的は、幼少期に子どもが育つなかで、私たち大人が見過ごしている問題行動の原点を明らかにすることなのだとか。 だからこそ、子どもの問題に頭を悩ませている人、子育てに格闘中の人、結構的にいきたいと願うすべての人に読んでほしいのだそうです。 しかし子どもに対してだけでなく、自分自身(とその周囲にあるストレスや悩み、あるいはコンプレックス)の本質を見極めるという意味でも、きわめて重要な意味を持つ内容だといえます。 そこできょうは、さまざまな角度から私たちを苦しめる「ストレス」についての記述に焦点を当ててみたいと思います。 ストレスには、それを生み出す「価値観」が存在するもの。だから、それを認めること、そして、なぜ自分がそれを取り込んで行ったのかを知ることこそが重要だというのです。 ■ストレスを生み出す「20の価値観」 私たちはそれぞれ、さまざまな価値観を持って日々の生活を送っているもの。当たり前のことではありますが、そんな価値観が自分たちの日常生活にストレスを与える原因になっている場合があるのだそうです。 そこで紹介されているのが、以下の「ストレスを生み出す20の価値観」。当てはまる項目が多いほど、ストレスをためやすくなるのだといいます。 1.「しっかりしなければいけない」という気持ちが強い。 2.(親や周りの人に)迷惑をかけてはいけないと思う気持ちが強い。 3.「(親や周りの人の)期待に応えないといけない」と思う気持ちが強い。 4.「我慢することが大切である」と思っている。 5.自分の素直な気持ち(「うれしい」とか「悲しい」とか「つらい」とか)をなかなか出さないほうである。 6.嫌なことがあったりつらいことがあったりしても、そのことを人にはなかなか見せないほうである。 7.人前では「暗い面を見せてはいけない」と思い、明るく振舞ってしまうことが多い。 8.「弱いことは情けない」とか「弱いことはいけない」と思っている。 9.泣くことは恥ずかしいことだと思っている。 10.人にはなかなか甘えないほうである。 11.「わがままやジコチュウであることはいけない」と思っている。 12.子どもっぽい面は出してはいけないと思っている。 13.「男(女)は男(女)らしくしなければいけない」という気持ちが強い。 14.お金の面で裕福になることが人生で成功することだと思っている。 15.完璧さを求めてしまうところがある。 16.ミスや失敗をしてはいけないという気持ちが強い。 17.「白」か「黒」かをはっきりさせないと気がすまない。 18.「勝つこと」に対してのこだわりや執着心が強い。 19.他の人から自分に対してなにかされたときに「自分のことを拒否された」とか「自分を悪く思われた」と受け止めてしまいやすい面がある。 20.「悪いことは許さない」という気持ちが強い。 ■刷り込まれている価値観を自覚しよう これらは私たちが生まれながらに持っている価値観ではなく、誰か(特に親)から「もらったもの」か、周囲の環境に影響されるなかで形成されたものだそう。 そして原点が幼少期にあるからこそ、幼少期まで振り返らないと、このような価値観を持った理由はわからないもの。 そして問題行動を起こしたり生き辛さを抱えていたりする人は、刷り込まれている価値観を自覚することが大切。そうでないと、根本的な解決にはならないというわけです。 また子育てをする人なら、いつかは自分自身と向き合わなければならないといいます。一方、子育てをしない人も、自分自身を本当に理解しようと思うのであれば、「いま」を大切にすべきだと著者。 上記の20項目をチェックすることにより、いまの自分についての問題点や、その根底にあるファクターをある程度は見極めることができるはず。 そして本書では以後も、さらに深く自分自身の幼少期に目を向けられるよう、「ストレスをためやすくなる価値観をどうして取り込んでいったのか」がわかる質問が、さらに20項目用意されています。 それらを確認してみれば、さらに奥深く、自分自身の本質的な部分にまで入り込むことができるかもしれません。 興味のある方は、本書を手に取りチェックしてみてはいかがでしょうか? (文/書評家・印南敦史) 【参考】 ※岡本茂樹(2016)『いい子に育てると犯罪者になります』新潮社

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