比ぶ者なき

馳星周

2016年11月30日

中央公論新社

1,870円(税込)

小説・エッセイ

時は七世紀末。先の大王から疎まれ、不遇の時を過ごした藤原史。彼の胸には、畏ろしき野望が秘められていた。それは、「日本書紀」という名の神話を創り上げ、天皇を神にすること。そして自らも神となることで、藤原家に永遠の繁栄をもたらすことであった。古代史に隠された闇を抉り出す、著者初の歴史小説にして会心作!

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toruo

(無題)

-- 2022年05月12日

ノワールでヴァイオレンスというイメージを持っているので好みじゃないわ、とこの作者の作品は全く読んだことがなかったのだけど、初めての歴史モノしかも主人公は渋いところで藤原不比等ということで試しに手に取ってみた。 日本史の授業では必ず出てくる名前だけども、それは中臣鎌足の息子で彼と彼の息子たち四兄弟の時代に藤原氏繁栄の基礎ができた、くらいの記述で彼がどんなことをしたのか、何故後の繁栄の基礎ができたのか、ということは特段意識したことがなかった。 本作品では今ではまるで常識の万世一系であるとか天孫降臨の神話、果ては蘇我馬子の実績を奪うためのフィクション的な存在である聖徳太子の創作などが後の藤原氏繁栄のために不比等がひねり出した策であるという。 どこまで史実や資料にあたっての作品なのかは分からないけれどもかなりのリアリティをもって書かれている。大化の改新の立役者である鎌足の息子ながらその後の壬申の乱で朝廷になかなか重用されずひたすら権力を求めて策謀をめぐらせる男...もしかしたらこうだったのでは、と思わせられる力を持った作品だった。続編が書かれる雰囲気もあり今後に期待させられる。

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