
蝦夷
古代東北人の歴史
中公新書
高橋崇
1986年5月31日
中央公論新社
902円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
「蝦夷とはなにか」という問題を含めて、古代東北史の戦後40年間の研究は、質量ともに厖大なものがある。その中で多くの通説や定説が生れたものの、それらは必ずしも厳しい史実検証が行われたものとはいえない。本書は、最近の目覚しい考古学の成果を取り込み、数少ない史料を丹念に検討しなおして、古代史の中でも、最も深い闇の奥底に閉ざされてしまった“まつろわぬ民”蝦夷=古代東北人の実像と、その軌跡の解明を試みる。
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1986年発行(手元にあるのは2012年発行の20刷)
1986年発行(手元にあるのは2012年発行の20刷)蝦夷と呼ばれた東北の人々の姿を、断片的史料のなかに追い求め、古墳や土器の様式と分布、アイヌ語地名の分布などを駆使して、古代東北史の通説・定説に批判を加え再構成しています。記紀の時代に「まつろわぬ民」と呼ばれ制圧され、しかし再び力をつけて再起し、という繰り返しの陰で非戦闘員どうしは「密貿易」をし、蝦夷のなかには権力側に入り込んで身分を上げていくものが生まれ・・・という歴史が立ち上がってきます。8世紀末から9世紀初頭の抵抗「38年戦争」から正史の記録は途切れますが、11世紀の安倍氏(陸奥)と清原氏(出羽)の登場につながることを示して結びます。それにしても、遣唐使の際には皇帝に見せるため連れて行った、などと動物のような扱いをしていたかと思えば、白村江の戦いに出征し唐の捕虜となって40年も奴隷ぐらしをした蝦夷がいたとか、日本の朝廷のご都合主義が甚だしいです。
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