
ロヒンギャ危機ー「民族浄化」の真相
中公新書 2629
中西 嘉宏
2021年1月19日
中央公論新社
968円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
2017年8月25日、武装グループがミャンマー、ラカイン州の警察・軍関連施設を襲撃した。これに対し国軍は、ロヒンギャ集落で大規模な掃討作戦を実施。人々は暴力を逃れるため、隣国バングラデシュへと避難し、半年という短期間に難民は70万人にのぼった。事件から3年が経過したが、帰還は進んでいない。本書は、アジア最大の人道問題の全貌を、歴史的背景やミャンマーをめぐる国内・国際政治から読み解く。
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toruo
(無題)
ロヒンギャと呼ばれる人たちがミャンマーでひどい目にあっているというニュースをよく目にするがどういう問題なのかわかっていないと思ったので手にとってみた。現時点、軍がクーデターを起こして政権を奪ってしまいロヒンギャの話をあまり目にしないけれども...。真面目な学者の作品らしくわからないことはわからない、と明記されていて好感を持った。ミャンマーというのは多民族国家で100以上の民族がいるらしい。まず政治経済を牛耳ったインド人、中国人への国民的な反感があり、ミャンマーの土着民族を優位にするという政治決定があったこと、またロヒンギャと呼ばれる人たちがミャンマーの中でも最貧のラカイン州という土地に暮らしており、ラカイン州の主要民族は少数民族のラカイン人で彼らは中央政府に反感を持っており独立運動もあったということ。そしてラカイン州がイスラム国家のバングラディシュと国境を接しておりロヒンギャもムスリムである、ということなどがベースにあったということがわかった。このような複合的な条件で、しかも軍政が民主化に移行したことによる自由化でいろいろな情報を得た一部のムスリムがミャンマーとラカインからの独立をもくろんで警察や軍にテロ行為を行い、その対応において軍の一部が暴走し虐殺を行ってしまった、というのがどうやら事の経緯らしい。虐殺を黙認したと世界的に非難されているスーチーさんも戦争犯罪は認めていた、ということもわかった。そのまま進むと軍の責任を追求せざるを得ず、しかし民主化したといっても軍は微妙な位置づけにいて、ということでスーチーさんも対応に苦慮しているうちに焦った軍が再度クーデターを行ってしまった、というのが現状ということのようだ。いろいろな複合要因を見てみると一方的に軍が横暴とも言えないなと思っていたのだけど...日に日に混乱を増す状況でこの先どうなるかわからないけれどわからない度合いが少しマシになったと思います。
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