ゲンロン戦記

「知の観客」をつくる

中公新書ラクレ 709

東 浩紀

2020年12月9日

中央公論新社

946円(税込)

人文・思想・社会 / 新書

「数」の論理と資本主義が支配するこの残酷な世界で、人間が自由であることは可能なのか? 「本書はぼくの考えた抵抗戦略である」。「観光」「誤配」という言葉で武装し、大資本の罠、ネット万能主義、敵/味方の分断にあらがう、東浩紀の渾身の思想。難解な哲学を明快に論じ、ネット社会の未来を夢見た時代の寵児は、2010年、新たな知的空間の創設をめざして「ゲンロン」を立ち上げ、戦端を開く。ゲンロンカフェ開店、思想誌『ゲンロン』刊行、動画配信プラットフォーム開設……いっけん華々しい戦績の裏にあったのは、仲間の離反、資金のショート、組織の腐敗、計画の頓挫など、予期せぬ失敗の連続だった。悪戦苦闘をへて紡がれる哲学とは? ゲンロン10年をつづるスリル満点の物語。

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Tochi3

イメージと違った東浩紀

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4.1 2020年12月29日

彼の本は大学の時に読んだことがあり、難解なジャックデリダをわかりやすく切れ味鋭く批評していた。クールで知的なイメージ、それがその当時の東浩紀だった。しかし今回の本を読んで、すごく身近な存在に感じた。失敗もするし怒りもする普通の人だ。親しみを感じる。これまで距離を置いてきたが、少しずつ彼の動向をフォローしていきたいと思った。

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ケムケム

哲学者が起業し苦労した10年間の経緯。私のような「亜^3インテリ」を啓蒙してくれた貴重な一冊。

starstarstarstar 4.0 2020年12月27日

 東浩紀氏を初めて見たのは、「朝まで生テレビ」だったと思う。訳のわからない発言をし続ける司会者にキレて、スタジオから出て行った姿が印象的だった。それから彼のTwitterをフォローしたりゲンロンの本を読んできた。一昨年の突然の騒動も衝撃だった。いったい何があったのか??????  先日、本屋でこの本を見かけて即購入した。購入したものの、彼は哲学者だ。難しい哲学を展開されても、、、と心配しながらページを開いたが、一般読者にもわかりやすく書いてあるので読みやすかった。  そもそも彼の専門の哲学の話ではなく、ゲンロンという会社を起業してからの失敗や成功や筆者自身の成長について書かれているので、難しい話は全くない。しかし、為になる話満載である。  「誤配」「観光」などキーワードを散りばめながらゲンロンという会社、ゲンロンカフェ、ゲンロンスクールの意義や効果について述べている。  ゲンロンが教育機関やNPO法人ではなく株式会社である理由について東氏は、商売抜きの世界では「信者」と「アンチ」の二項対立を生み出しやすいが、自分たちは第三者(観客)が必要だと思っている。人は誰でも観客がいなくなり、「信者」と「アンチ」だけになるとすぐ言葉も作品も堕落してしまう。(今、ネット空間をはじめ、マスコミや政治、一般社会で起こっていることはそう言うことなのだと私は思った。)「村人(信者)」と「よそもの(アンチ)」という世界を分断する単純な思考から抜け出し、第三者を集めるには商売をする(ゲンロンを経営する)しかないと述べる。  彼は「哲学は生きられねばならない。そして哲学が生きられるためには、だれかが哲学を生きているすがたを見せねばならない。」と言う。机上の哲学者ではなく、哲学の実践者になりたいということだ。カッコいい。  東さん、私はこの本でちゃんと啓蒙されましたよ。  

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kojongsoo8318

겐론 전기

starstarstarstarstar 5.0 2020年12月11日
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