二・二六事件増補改版

「昭和維新」の思想と行動

中公新書

高橋正衛

1994年2月28日

中央公論新社

902円(税込)

人文・思想・社会 / 新書

昭和十一年二月二十六日、降りしきる雪を蹴って決行された青年将校たちのクーデターの結果は全員処刑により終った。本書は、多くの資料によって事件の経過を再現し、彼らが意図した「昭和維新」「尊王攘夷」の意味を探り、軍隊のもつ統帥権意識を解釈の軸として、昭和初期からの農村の疲弊に喘ぐ社会との反応、軍部の政治への結合と進出の過程を追う。なお、改版に当り「命令・服従」という日本軍隊の特性について増補・加筆する。

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toruo

(無題)

-- 2022年05月12日

五・一五事件の本を興味深く読んでこちらの事件についてもちゃんと読んでみようと思ったので手に取ってみた。1994年に出たものでかなり古いのだけど新書で今まで売り続けられているのはそれなりの内容なのかと思ったので。同じように時の首相をはじめ政府要人を暗殺するという立派なテロにも関わらず、殆どが微罪ですぐに主謀者達が釈放された五・一五事件と異なりこの事件では民間人も含めた首謀者達は事件の後すぐに銃殺刑に処されているのは何が異なるのかに興味があった。首相を暗殺できたのが不思議なくらいのドタバタだったように見える五・一五事件に比して同じくらい衝動的に決起したように見えるにも関わらずかなりの成果を上げているのは軍隊としての練度が上がっていたからなのか。作者が意図していたのかは分からないけども首謀者の青年将校達にかなり同情的な筆致が少し気になった。世相の悪さは天皇を輔弼する重臣達の悪政によるものでこれを力で排除して正しい世の中を作ろうという大雑把に言うとそういう動機なわけだが、あてにしていた天皇自身の激しい怒りをかったこととそれを目にした軍上層部が態度を硬化させたことが処分の重さを招いている、という説明であったように思う。個人的には動機はともかく結果としては立派なテロであり叛乱でもあるのだからあまり同情の余地は無いのでは、とも思うのだけど。興味深い作品でした。

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