ルワンダ中央銀行総裁日記増補版
中公新書
服部正也
2009年11月25日
中央公論新社
1,056円(税込)
ビジネス・経済・就職 / 新書
一九六五年、経済的に繁栄する日本からアフリカ中央の一小国ルワンダの中央銀行総裁として着任した著者を待つものは、財政と国際収支の恒常的赤字であったー。本書は物理的条件の不利に屈せず、様々の驚きや発見の連続のなかで、あくまで民情に即した経済改革を遂行した日本人総裁の記録である。今回、九四年のルワンダ動乱をめぐる一文を増補し、著者の業績をその後のアフリカ経済の推移のなかに位置づける。
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大量虐殺でその国の存在を知ったといってもよい中央アフリカの小国ルワンダが最近アフリカの奇跡と言われるほど発展していると知ってその理由が知りたく何か良い本がないかと探している時に目に止まった作品。ベルギーの植民地から独立を果たして間もない同国の中央銀行総裁を5年間に渡って日本人が努めていたのだという。作者がその人なのだが終戦をラバウルで海軍大尉として迎え戦後は日本銀行に務めIMFから派遣される形でルワンダの中央銀行総裁、その後は世界銀行の副総裁にまでなったのだという。これはかなり面白そうだと手にとったのだが期待は裏切られなかった。当時はアフリカ一の人口密度でろくな資源もない最貧国のルワンダだが、作者は明治維新や太平洋戦争後の日本もそんなものだし日銀職員として中央銀行の総裁をどんな国であれ務められる、しかもほぼその国の経済政策を決定できるのは日銀マンにとって本望、と引き受けるのだけどそのプロ意識とプライドには頭が下がる思い。概ね上手く行った、という内容ではあるので普通は自分でそれを言うか、みたいになるのだけど作者のプライドが純粋な故か全く嫌味ではなく凄い男がいたもんだな、という気持ちにさせられた。残念ながら自分の不勉強ゆえ経済政策に関する記述は(かなり噛み砕いて易しく説明してくれているのだが)きちんと理解できたとは言い難いのだが、エスタブリッシュメントつまり旧植民地の支配層、もっと有り体に言うと白人達の話を鵜呑みにせず現地人のそれこそ庶民に至るまで話をし経済の実際を理解しそれを政策に反映しようという姿勢が素晴らしかったのだと思う。そして現地人に対しても非白人である、ということはかなり有利に働いたに違いない。本作は一旦刊行されたものに94年の大虐殺に関する考察も加えられた増補版。部族対立による虐殺について本文と比べて辛そうな筆致が印象的。もっと早く、できれば就職する前に手に取ればよかったな、とちょっと後悔しました。素晴らしい内容。面白かった。
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貧国ルワンダを救った日本人
宗主国ベルギーからの独立まもないルワンダの経済は荒れ果て、破綻寸前だったという。 そこにルワンダ中央銀行総裁として抜擢され、その6年間の任務の末、ルワンダの経済状況をイチから立て直した男の自術伝である。 全体を通してヒシヒシと伝わる仕事へのプロ意識、そして自信は、「本当に新天地か」と思わせるほどだ。さらに、彼の俯瞰的視点、そして迅速に最適解を導く思考プロセスと行動力はずば抜けている。 彼の凄いところは、この経済再建を「数字だけ」のものにしなかったところにある。 しかし、常にルワンダ人を第一優先とし、彼が去った後も安定して成長できるような、「持続的」な経済を構想していたのである。 ルワンダ人にとって、彼は外国人だ。今より半世紀以上前、我々に対する偏見や恐れも少なからずあっただろう。そのような状況においても、皆から絶大な信頼を得ることができたのは、彼の据えた理想に誰もが共感したからだと思う。 知らない土地での事業において、彼のような姿勢は極めて重要であり、今後どれほどグローバル化が進んでも、その重要性は変わらないと思う。 経済・金融云々の知恵はもちろん、対外相手に友好関係を築き、対等な関係として事業を進める上で大切なことを学べる、素晴らしい自叙伝であった。
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